2025年5月アーカイブ

庄内酒田市の居酒屋で燗酒を頼めば、ほぼ東北銘醸の定番地酒「初孫」が出てくるなんて話を聞きますが
そんな「初孫」を醸す東北銘醸にやってきました
北海道に住む私ですら何度か飲んだことのあるメジャーな日本酒
蔵の規模も大きく先日伺った鯉川酒造や奥羽自慢のような歴史の重みを感じさせるような酒蔵ではなく、いかにも日本酒工場のような蔵でした
とはいえ伺ったのは土曜日ってことで蔵はお休み
 

2025yamagata198.JPG
 

もっともこれは最初から分かっており
目的は東北銘醸に隣接する資料館「蔵探訪館」の方で
「日本酒のすばらしさをもっと多くの人に」といったコンセプトで開館されたこの施設を見にやってきたというわけです
 

2025yamagata199.JPG
 

エントランスではほのかに日本酒の香りが漂っていました
 

2025yamagata200.JPG
 

展示室では原材料の一つ酒米の稲穂が展示されています
「山田錦」や「雪女神」などを見るとコシヒカリなどの食用米と比べて稲穂が長いのが特徴で
草の部分が多い分、粒の大きなお米となるため心白もその分大きくとれるので酒米として重宝されています
ただ栽培期間も通常より長くなりがちで、台風などの被害に晒されやすいため、栽培には苦労が絶えないそうです
そう最近では私の住む北海道でも酒米が盛んに栽培されておりますが、台風などの被害は内地と比べ格段に少ないでしょうから、北海道は将来有望な酒米産地となるやもしれません
そういや芦別市の加藤農場では数年前から「山田錦」の栽培を始めたようですし
  

2025yamagata201.JPG
 

この展示室にある「全国酒造好適米一覧」には残念ながら
北海道で栽培されている「吟風」「彗星」「きたしずく」の名は有りませんでした
 

2025yamagata202.JPG
 

展示室では醸造工程を写真やパネルでわかりやすく解説
品評会で受賞した数々の賞状や昔ながらの木製の麹箱や木桶なども合わせて展示されています
  

2025yamagata203.JPG
 

そんな昔ながらの酒造りを伝える焼き物の模型(これ一セット欲しいかも)がありましたが
特に目を引いたのが「山卸し(酛摺り)」
これは1700年ころ確立した日本酒造りの工程で、櫂を使い、桶の中の蒸し米と麹を2人1組になってすり潰す作業で
通常、厳寒期の深夜に数回に分けて行わなければならず、蔵人にとってたいへん過酷な作業となります
これにより蔵に存在する乳酸菌を取り込んで乳酸が生成され不要な雑菌を死滅させることにより酒母を腐敗から守り、酵母の増殖を促す、なんだか現代のバイオ技術なんて思える所業です
東北銘醸では創業以来一貫して時間と手間がかかる昔ながらの伝統手法「生酛造り」による酒造りを『全量』において行っていると言うから驚きです
最初に日本酒工場などと書かせていただきましたが、なんだか失礼なことを書いたような気がしてきました
 

2025yamagata206.jpg
 

そんな酛すりで造られた商品の紹介コーナー
「大吟醸 仙寿 初孫」
「純米大吟醸 祥瑞 初孫」
「純米吟醸酒 夢工房 初孫」
「辛口純米酒 魔斬 初孫」
「生酛造り 純米酒 初孫」
「本醸造 本撰 初孫」
晩酌酒から大吟醸まで幅広いラインナップですね
 
 
2025yamagata204.JPG
 

庄内酒田の昔を伝えるコーナーには
その昔、大いに活躍した陶器製酒樽とともに
「日和山公園の北前船」
「酒田の舞妓」
「山居倉庫」の写真が展示されています
ちなみに北前船の往来で栄えていた当時、酒田には約150人の芸妓や半玉がいたものの現在は衰退
町おこしの一環として「舞娘さん制度」が創られ、「酒田舞娘」として復活し酒田の舞妓は舞娘茶屋「相馬樓」にて今も健在なんだそうです
  

2025yamagata205.JPG
 

最後は利き酒コーナーへ
 

2025yamagata207.JPG
 

私はレンタカーの運転があり飲めませんでしたが
我が家の奥さんは
「蔵出し原酒 蔵探訪」
春季限定「美咲 純米大吟醸 生酛造り」
「辛口純米酒 魔斬 初孫」を堪能していたようでした
 

2025yamagata208.JPG

椀をさかさまにしたような形から「オワンクラゲ」と呼ばれるクラゲ
刺激を受けると生殖腺が、外周を縁取るリングのように緑色に発光します
これが「見えるように光るタンパク質GFP」の効果で
2008年に下村修博士が「GFPの発見と応用」でノーベル化学賞を受賞したするきっかけとなったクラゲです
ちなみにGFPは今後、がん組織をマーキングすることによりがん診断・治療への貢献が期待できたり
光る街路樹など地球規模の環境・エネルギー問題などにも貢献が期待できる
そんな未来の生活を変えるかもしれないタンパク質だったりします
  

2025yamagata216.JPG


そんなオワンクラゲをはじめとしたクラゲの展示に特化した水族館
「鶴岡市立加茂水族館(クラゲドリーム館)」に立ち寄ってみました
 

2025yamagata209.JPG
 

鶴岡市加茂水族館はいまや年に50万人をも集客する庄内地方の有数の観光地
2015年には来場者100万人を突破したとのことで
記念イベントが行われ、東京海洋大学の「さかなクン」がお祝いに駆け付けたようで
その際に書かれたのであろうイラストが飾られていましたが
さかな君には画伯と冠を付けたい出来のイラストでした
 

2025yamagata211.JPG
 

世界各地の貴重なクラゲ約60種を展示する「クラネタリウム」
クラゲの展示数はなんと世界一なんだそうです
 

2025yamagata212.JPG
 

光るクラゲはオワンクラゲだけではなく
櫛板列が七色に光り輝く「キタカブトクラゲ」も鑑賞
 


 

「エチゼンクラゲ」の優雅な舞に見入ったり
 

2025yamagata213.JPG


直径5メートルの巨大な水槽に10,000匹のミズクラゲが泳ぐ「クラゲドリームシアター」で癒されたりもしました
 

2025yamagata214.JPG
 

メインの展示物である
「オワンクラゲ」のコーナー
発光展示中とあります
 

2025yamagata215.JPG
 

青白く光りながら泳ぐ「オワンクラゲ」
逆さに泳いでいるんでまさにお椀ですね
 


 

光るタンパク室はオワンクラゲの専売特許ではなく
鶴岡市立加茂水族館から提供されたハナガサクラゲからも見つけられており、そのタンパク質の遺伝子の設計図を取り出しクローニング、タンパク質工学により改良し、新しいタンパク質を作りだしたんだとか
作り出されたタンパク質の名はなんと「Gamras(ガミラス)」
青い顔のあの人物の顔が浮かんでしまうのは、宇宙戦艦ヤマト世代だからでしょうね
 

2025yamagata217.JPG
 

もっともクラゲだけではなく、庄内地方沖に生息する約140種類の魚なども展示されておりました
なんだか美味しそうと感じるのは不謹慎かもしれません
 

2025yamagata210.JPG
 

そういや受付で子供を連れたお父さんが「エサ」はどこで売っているのと聞いていましたが
それはゴマフアザラシとキタゾウアザラシが泳ぎまわる「アザラシプール」での餌槍体験がやりたかったからのようで
確かにこんなシーンを見せられたらアザラシにエサをあげたくなりますね
とこんな感じで1時間弱、クラゲをはじめとした海洋動物に癒されてきました


2025yamagata218.JPG

カテゴリ

月別 アーカイブ

Powered by Movable Type 7.7.1

このアーカイブについて

このページには、2025年5月に書かれた記事が新しい順に公開されています。

前のアーカイブは2025年4月です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。