コロナ前の2019年、札幌のパークホテルで開催された北をめでる酒と肴「大吟醸酒を楽しむ会in北海道」と言った日本酒のイベントに参加
参加していた山形県米沢市の酒蔵「東光醸造元 小嶋総本店」のお酒が美味しかったこともあり
そんな東光醸造元 小嶋総本店、酒造資料館「東光の酒蔵」にも立ち寄りたく、帰り道に回り道をしてやってきました
受付を済ませ、酒蔵として使っていた建物を改築して造った酒造資料館「東光の酒蔵」に入館
手前にあった復元した商家の帳場には
「為せば成る、為さねば成らぬ何事も」の名言とそれを詠んだことで知られる上杉鷹山の肖像画がありました
そんな米沢藩を治める上杉家に愛された日本酒『東光』
今も米沢城の東隣に位置しています
創業は1597年といいますから安土桃山時代にあたり、420年もの歴史を持つ蔵なんですね
仕込み蔵は実際に酒造りを行っていた土蔵を改修したもの
内部は明治時代の酒造りの現場に足を踏み入れたような趣き深い空間でした
昔ながらの酒造りの工程がわかりやすくイラストと焼き物の模型で「日本酒のできるまで」と説明されていますが
基本、現代の日本酒造りとは大きな違いはなさそうです
ただ大きな違いとまではいきませんが、昔はこうした「酛分半切」の木桶を使い
櫂棒で桶の内容物を強く摺る酛摺り(山卸し)が主流だったようですが
いまでは速醸酛を使った山廃がほとんど
ただ近年の伝統再評価の流れの中でふたたび脚光を浴びつつあるのもまた酛摺りによる生酛造りのようで、最近あちこちの酒蔵でまた生酛による酒造りが復活しているのをここ数年見て歩く事となりました
仕込みに使われていたのでしょう6尺(直径180cm)もある大きな木桶が並ぶ光景はまさに圧巻
しかも木桶には天然の防腐剤として柿渋が塗装されていて黒光りしております
残念ながら木樽職人が不足している現代ではもう再現することが出来ない、そんな光景かもしれません
蒸米に使われる窯や蒸籠も大きく、その昔はかなりの量を醸造していたのだと伺えます
そういや母屋の奥に見えた煙突も大きかった
上槽の工程で使われていた「槽」も展示されていました
これまたいまではほとんどがヤブタ式に替わっているのでしょうけど
この槽(圧搾機は使いますが)でなければ出せない味もあるなんて、わりと多くの蔵の杜氏から聞きました
多くの杜氏たちが手を合わせてきたであろう
「大神神社御分社」
美味しいお酒が呑めますようにと私も祈願してまいりました
奥には造り酒屋の母屋も復元され展示されています
炭や薪を使っていたかまどのある炊事場も復元されておりました
その昔は多くの農閑期の出稼ぎが、住み込みで働いていたのでしょうから
こうした炊事場も大活躍してたのでしょうね
ここに伺ったのは3月下旬でしたが雛飾りがまだ飾られていました
これは「江戸時代の享保雛」というもので、四百年以上の歴史を持つ小嶋家に代々受け継がれてきた雛人形が一堂に展示されるというものでした
これらは大正8年(1919)に起きた米沢大火の際、土蔵の中で無事難を逃れたものなんだそうで
たぶんそんなこともあって
自衛用にこんな「乙号ポンプ」を備えるようにしたのでしょうね
蔵元直営の販売所はこの日、まるで外国人に占領されたかのようでした
昨今、アメリカのみならず中国をはじめ台湾・韓国のかたにも日本酒は人気のようです
プレミアム試飲サーバーでは普段はなかなか口にできない高級酒やコンテストの受賞酒もリーズナブルな価格で試飲できるようですが、いつものように私はレンタカーの運転があり飲めません
我が家の奥さんがかわりに愉しみました
そんな直営所でみた商品で目を引いたのが、この
「東光フレッシュSAKEサーバー」というもの
冷蔵庫に入れられるから、酸化を防いでフレッシュに楽しめるとのことで
一家に1個、いかがですかとポップに書かれていました
しかもこれは繰り返し使えるボックスと詰め替え用パウチ
環境にやさしい設計とありますが・・・
ここ東光醸造元 小嶋総本店のSDGSに対する配慮には目を貼るものがありました
VTRで「再生可能エネルギーへの切り替えについて」と言うものが上映されていましたが
現在小嶋総本店の酒蔵では酒粕を発電に活用、循環型エネルギーでカーボンニュートラルを達成しているのだそうです
(聞くところによると蔵主がアメリカのバイヤーと商談した際に、商品の話などそっちのけであなたの蔵ではSDGSに対しどう考えているかばかり聞かれ、対応しないのなら取引はないなんて聞かされたのが、こうしたSDGSに対する配慮のはじまりなんだそうです)
そのうえロボット技術やICTを活用した自然と人にやさしい農業(スマート農業)を目指すとのことで
太陽光パネルで動力を生み出し、田んぼの水と土をかき混ぜ続けることで雑草の光合成を抑える自動抑草ロボット「アイガモロボット」を使った有機酒米栽培を行っているとのことでした
そんな農薬や化学肥料を使用しない栽培を行った山形県産出羽燦々を米の個性を尊重し、80% 精米でで醸した『東光 AIGAMO』がちょうど伺ったころに発売されていたんで
お礼を兼ねて立ち寄った「おさけマルシェとうかい」で購入して帰ることに
これは赴任先滝川の名産品「新生園のあいがも」とともにいただこうと思います
コメントする