宿泊するスーパーホテル仙台広瀬通りからレンタカーを走らせ1時間ほど
「熊 出没注意!(大崎市)」といった看板の有るような山の中に今回の目的地はありました
その目的地とは 宮城県の伝統的な手づくりの日本酒蔵一ノ蔵
『発泡清酒すず音』『一ノ蔵 無鑑査』などを醸す酒蔵で
私の住む札幌においても居酒屋などで良く見かける銘柄の蔵でもあります
にしても到着してびっくり
こんな山奥にこんな建物が・・・と、何とも立派な酒蔵でした
酒蔵ということで木造の蔵を想像していただけあって、この建物にはびっくりさせられました
さてこの「一ノ蔵」
昭和48年の創業
宮城県内4つの酒蔵、浅見商店、勝来酒造、桜井酒造店、松本酒造店がひとつとなり誕生
統合時に最先端の新工場を竣工
清潔でゆとりのあるスペースと最新の酒造機器、設備を積極的に導入
これが現在の多彩な製品の開発・生産に繋がっているのだそうです
酒蔵と言うよりビルディングと言ったほうが分かりやすい建物ですが
やはり酒蔵
1階には瓦屋根の軒先が有り
酒蔵らしく杉玉が飾られておりました
まずは酒蔵らしくない自動ドアの玄関を潜り中へ
風除室には菰樽も飾られていました
今回この「一ノ蔵」にやってきたわけは、この酒蔵ではガラス越にスタッフの説明付きの見学が行われていたから
内容は所要時間約1時間で
①一ノ蔵の酒造りを紹介するDVD動画を視聴
②スタッフが専用の見学回廊より各製造工程をご案内
③試飲
④お買い物
と言ったもの
予め予約の上、伺いました
日本酒造りの最初となる精米
残念ながら精米機は拝めませんでしたが
「削ったお米はどうなるのでしょうか?」と言ったコーナーには
精米後の酒米の残りである米粉はお菓子作り等に使用されたり
牛や豚の飼料として使われるといった説明書きが有りました
そして洗米
白米についている糠(ぬか)分を水で洗い流します
ご飯と同様、良く洗った白米の方が美味しい酒になるのだそう
それにしても私もそこそこ酒蔵を巡ってきましたが
ここまで大きな洗米機は初めて見ました
現れた酒米はこの浸漬用のコンテナに入れられるようですが、その数もすごい
この一ノ蔵での日本酒の生産量は1万3000石、県内随一の大手蔵元というのも頷けます
浸漬された酒米はコンテナからこのベルトコンベヤーで運ばれ次の行程へ
そう蒸米
近代的な酒蔵ですが酒米を蒸すのは昔ながらの甑
ただこの甑で1.5トンの酒米を1時間ほど蒸すのだそうです
続いて麹造り
硝子越しに清潔そうな麹室が見て取れました
参考のため見学通路に「麹箱」が置かれています
一ノ蔵ではこうした麹箱を用いた麹造がおこなわれるなど、今でも手づくりにこだわった酒づくりをしているようです
枯らし室
ここで2日間かけて出来上がった工事を一定温度で枯らしてから
酒母(しゅぼ)や醪(もろみ)に使われます
酒母室には灘五郷などで見た生酛造りの道具である荒櫂が置かれていました
いまでは珍しい生酛造りですが、2018年に生酛特別純米酒『耕不盡(こうふじん)』という名の日本酒で山卸しを復活させたのだとか
そんな酒母室にはホーローのタンクとステンレスのタンクが見て取れました
続いて、もろみの仕込み
ここに伺った8月、造りは行われてはいませんでしたが
半地下に置かれた醪タンクが見て取れますがなるほど、これだといちいち梯子で登らずに済みますので
効率的ですね
そうそう通路にある床にテープで書かれた説明書は、タンクを輪切りにした断面の様子
三段仕込みを表現しているようです
日本酒造りの最後を飾る搾り
醪を搾るのはこの「ヤブタ」と
昭和製作所の佐瀬式自動圧搾機
高額な機械が何台も並んでいます
最近搾ったのか、ここにきて日本酒の香りが漂っていました
酒蔵見学の最後はお楽しみの試飲
バスツアーなどにも対応しているのでしょうかなりの大きな部屋での試飲となりました
ちなみに椅子は木樽の蓋を流用したもの
試飲したの(私はドライバーなので飲めません)
『一ノ蔵 特別純米生酒 ひゃっこい』
『一ノ蔵 ササニシキ純米大吟醸』
『一ノ蔵 純米原酒 酒蔵見学限定酒』
『一ノ蔵 ひめぜん 梅』
の4種
寺院の僧兵のために鍛造された名刀「大和伝」の名をつけた
『特別純米酒 大和伝』
そして酒米の最高峰山田錦を、自家精米で40%に磨き上げ、小仕込みで長期にわたり、低温で発酵させ、涼温で静かに熟成『純米大吟醸 松山天』
これは少し残っていたからと試飲とは別に振る舞っていただきました
最後に土産に『特別純米酒 大和伝』を買い見学終了
今回は一ノ蔵での酒蔵見学スタッフの丁寧な説明に感謝です
そうそう酒蔵の窓から外には貯蔵タンクがずらり並ぶ景色が見られましたが
何だか灘五郷でみた酒蔵の景色を思い起こします
こうした最新鋭の設備の数々は、やはり日本酒の将来に問題意識を持ち4つの蔵が合併したことにより、投資が集まり誕生したのでしょう
これが麻雀しながら「4人でなんども卓を囲み(麻雀をし)、互いの人柄を理解し合い、酒づくりへの考え方を確認した」のが始まりと言うのがなんとも愉快なお話です