人工衛星を大気圏外まで運ぶロケット
このロケットの心臓部となるエンジンの研究・開発を行っているのが宮城県門田にある角田宇宙センター
日本のロケット開発には欠かせない重要な施設で小惑星探査機「はやぶさ2」を打ち上げたロケットも、ここ角田宇宙センターで開発されたものです
その角田宇宙センターの敷地面積は約170万平方メートル、東京ドーム約37個分にもなるという広さを誇ります
ここがが選ばれた理由は、「ロケットの研究で大きな音や煙が出ても大丈夫な場所だから」と言うのが有りますが
センターが建っている場所は、戦前は海軍の火薬廠の一部だった場所
敷地の中には丘陵がいくつもあり、万が一事故が起きても近隣の施設への影響を最小限におさえる土塁の役割を果たしていることが、ここ角田が研究施設に選ばれた理由のようです
さてJAXA角田宇宙センターにはもちろん入れませんが
隣接する宇宙開発展示室には無料で見学できます
まずは屋外に展示されている、大型液体ロケットエンジン「LE-5」
H-Iロケットの第2段エンジンとして使われたロケットエンジンそのものです
続いて「LE-7」
あのH-Ⅱロケットの第一段エンジン
これまた現物
機密の塊のはずで某国に盗まれたらどうするのと言った展示のされ方でした
H-Ⅱロケットの燃料タンクも展示
太い方が液体水素、細い方が液体酸素
内部ものぞけるようになっています
玄関を入ってすぐのウェルカムコーナーに展示される歴代ロケットたちの模型
この模型は縮尺1/20で、左から2番目のH-ⅡBロケットは天井にも届きそうですが
実物は56.6mあるそうです
さてここに来た目的のものは「ZONE3」にありました
ここは主にロケットに搭載するエンジン関連のものが展示されています
例えばN-1ロケットの第2段目で使われたLE-3エンジン
けれど見たかったのはこのパネルに紹介されている「LE-7エンジン」
1999年に打ち上げられたH-Ⅱロケット8号機のLE-7エンジンが異常停止し、打ち上げに失敗します
エンジンが異常停止した理由がわからないことから、海に沈んだLE-7エンジンをJAMSTECに回収依頼
執念の探査のおかげでその年のクリスマスに発見し翌年海底3,000mから回収されました
これは昔NHKの(ノン)フィクションドラマである、プロジェクトX~挑戦者たち~「海底3000メートルの大捜索~HIIロケットエンジンを探し出せ」の回の話の中で紹介されていたので覚えていました
失敗に終わったHⅡロケット8号機の残骸を海洋研究開発機構「JAMSTEC」が小笠原沖3,000mの深海から引きあげ、そのロケットエンジンを分析し、故障した理由を推測し原因が判明します、それは当初考えていたものとは別物だったのだとか
その後に設計しなおされたロケットエンジンLE7-2を積んだH2やH2B
そしてLE7-2から進化したLE9を積んだH3ロケットは発射に失敗する事は無くなりました
そんな失敗に挫ける事なく、前に進む日本人の技術者の気質を、ここJAXA角田宇宙センターで学んでまいりました
そう日本のロケット開発の父、糸川博士が言うところの「人生で大切なのは、失敗の歴史である」が実践された例ですね
引き上げられたされたLE-7エンジンは
この失敗を忘れないためにここJAXA角田宇宙センターに展示されています
まぁこれが見たくてわざわざ角田までやって来たんですよね
故障したLE-7液体水素ターボポンプ部分
ターボポンプ部分内部にあるインデューサーと呼ばれる液体水素を送り込むプロペラが破損したため、エンジンは支障をきたし停止したようです
原因は複数あるようですが「泡」もその要因の一つだったのだとか
H-ⅡロケットのLE-7用の液体水素ターボポンプのモデルが展示されているので、そのプロペラの設置されている部分がそこかよくわかる展示です
そうそう通路にはなんとマンガ「宇宙兄弟」が貸し出しのため置かれています
いまどき宇宙をテーマにした漫画と言えばやはりこれなんですね
宇宙日本食も展示
これらはJAXAがISSに滞在する宇宙飛行士に供給するため作られたものですが
目を引いたのがカレーラーメン
ちなみにラーメンの宇宙食は大変難しいものだったそうです
ただこれは野口宇宙飛行士から『宇宙で大好物の焼そばを食べたい』との話があったことを受けて日清食品が開発実現したもの
とはいえ当初、日清食品は宇宙食ラーメンの開発には消極的だったそうです
それを聞いた日清食品の創業者会長、安藤百福の一言でプロジェクトチームが発足し開発されたのだとか
宇宙食ラーメン「スペース・ラム」是非とも食べてみたいものですね
軌道エレベーターに乗って地球を眺めながら食べれたら最高なんですが
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