広島西条2021の最近の記事

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タイトルにある劇場用日本酒映画「吟ずる者たち」
「吟醸酒の父」と呼ばれる三浦仙三郎の酒造りを題材に、明治から令和へと引き継がれる吟醸酒への想いが綴られ
しかも映画の舞台のほとんどが酒蔵と言う、日本酒好きにはたまらない映画です
先週の11月5日金曜日、ロケが行われた広島市や東広島などで全国に先駆け上映が始まりました
 


 

似たような映画は実は3年前にも有りました
日本三大酒処の一つとして有名な東広島市・西條を舞台に、伝統文化の象徴である日本酒造りを軸としながら、その土地で暮らす人々の生活、そして幻の日本酒を巡る出会いと別れを繊細に描いた心温まる珠玉の作品
映画「恋のしずく」
これまた同様に全国に先駆け同様に広島の各所の映画館で上映されました
私の住む札幌ではその映画「恋のしずく」は何と年末年始に上映され、しかも上映期間は短く(7日間)
その年の年末年始はアンコールワットを見にカンボジアへ行っていたため、残念ながら観に行くことがかないませんでした
結局翌年の4月にようやく映画「恋のしずく」のDVDのレンタル開始とともに借りて観ることに
 

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そんな残念な経験があったことに加えて、映画「吟ずる者たち」は私の住む札幌でいつになったら見られるか(映画館のサイトを見ても上映予定には入っていません)
もうこれは広島まで飛んで行って観るしかないな~と一大決心
もっともこれにはJALのステータス維持の関係で今年もう一回有料で飛んでおかねばならないというのもありました
てことでなんだか久々に新千歳空港JALファーストクラスチェックインカウンターから旅立つことに
 

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ちなみに新千歳空港から広島空港へは飛行機の便が悪く
夜に広島に到着、朝に広島を発つそんな不便な便しかありません
これはどちらかと言うと北海道の人が広島へ行くための便ではなく
広島の方が北海道に来られる方たちの便、そんな意図を感じずにいられません
この便で広島に行くと、空港からのアクセスを考えると土日だけでは映画が見られないことになります
という事で金曜日の午後からお休みを頂き、新千歳空港へやってきたというわけです
 


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昼からお休みを頂き
会社から直接空港へとやってきましたが
この日は昼食がまだだったので、ちょっと遅めの昼食はラウンジにてエプロンに並ぶ航空機を眺めつついただくことに
 

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ラウンジは平日とあって空いていましたが、金曜日の午後という事もあり
次第にビジネスマンを中心に次々やってくることとなりました
 

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ラウンジのダイネットをみると味噌汁やスープの鍋はまだ置かれていません
いまだコロナ対策実施中
ちょっと味気ないのですが、味噌汁はサーバーから注ぐことに
 

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同じようにサーバーから注ぐプレミアムビール1杯目はキリン一番絞りプレミアム
2杯目はサントリー ザ・プレミアム・モルツ
3杯目はアサヒ ドライプレミアム豊穣
ということで4種あるうちのサッポロ クラシックは今回はパス
 

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JALダイヤモンド・プレミアムラウンジ名物の「焼きカレーパン」も午後という事でありました
ただしこの焼きカレーパンはパッケージされたものに変わっています
 

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これは以前、ラウンジで焼いていたそうですが
以前のほうがカレーがいっぱい詰まって美味しかった記憶が有ります
 

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パンはこのほか、「ミニあんぱん」と「「旨みフォカッチャ~ベーコン&チーズ~」というものが並んでいました
これは千歳に本社の有るお菓子屋「モリモト」のパン?でしょうか
 

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おにぎりのこの日のメニューは「たぬきおにぎり海老だし」「ほっけほぐしおにぎり」の2種
ほっけほぐしおにぎりが旨かった
 

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今晩の晩飯は予約してあるので昼飯はほどほどにして
マッサージチェアーでマッサージ
20分くらいしっかり揉んでもらい
走行している間に搭乗時間となり搭乗


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天気もそこそこ良く、2時間余り遊覧飛行を堪能
下降時にはゲタリンピックや下駄の町としても有名な松永の湾もくっきりと見えました
 

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たどり着いた広島空港
さてこの後、路線バスとJR山陽本線を乗り継ぎ西条を目指します


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酒都西条へ

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今年10月、広島県から4人目となる岸田新総理大臣が誕生、広島県では宮沢首相以降30年ぶりの快挙
ということで、広島空港の2階の土産屋さんで誇らしげに売られていたのは
「誕生!!キッシーはちみつレモン風味まんじゅう」と「誕生!キッシー㊗号外瓦版煎餅」
総理大臣さえも商売のネタにする、広島商人の商魂も大したものだとただただ関心
 

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そうそう空港土産売り場のお酒コーナーには
劇場用日本酒映画「吟ずる者たち」公開記念限定ボトル
西条&安芸津の酒造会社8蔵分が揃えて売られていました
多少気になりますが日本酒はその8蔵のうち、西条の6蔵を回る予定なので、その時に気に入ったものを買おうと思っているのでここではパスさせていただきます
 

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広島空港に来たのならさっさと次の目的地に向かえばよいのですが
広島空港から今回の旅の目的地である西条への空港連絡シャトルバスは、コロナの影響で運休
代替となる白市行きの路線バスに乗り、白市からはJR山陽本線で西条に向かう事となりました
路線バスという事もあり、飛行機の発着時間に合わせているわけでもないので
広島空港でしばし時間が有り土産売り場をぶらついたというわけです
 

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路線バスは郊外を勢いよく走り15分ほどで白市駅へ
帰りは今回の逆コースで帰りますので、バス乗り場を確認いたします

ふとバスの行き先表示を見ると「ネオポリス東広島」とありました
気になってググってみたところ、これは大和ハウスが造成した大規模団地
全国に30ほどこうした大和ハウスの団地が有るのだそうです
 

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ここ白市駅で乗り合わせの為、20分ほど待つこととなります
ふと駅の時刻表を見てみると、広島方面へは1時間に4本ほど運行しているようですが、逆の三原方面には1時間に1~2本と極端に運行本数が減るようです
小さな駅でしたが、着いた時間が夕刻6時半ということもあり大勢の通勤客が利用していました
きっと広島市あたりから通勤客なんでしょうね
ちなみにこの白市駅は「JRシティネットワーク広島」の東端の駅となるんだそうで、広島方面から来た電車はほとんどがここで折り返すようです
元は城下町だったそうで次回はレンタカーでも借りて散策したいそんな町です
 

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そんな白市駅から西条駅までは電車で2駅
10分とかからずに到着いたしました
 

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駅から降りるエスカレーターには
「ようこそ酒都・西条へ」「Welcam to Saijo - The Capital of Sake-」と書かれた看板が・・・
よほどの自信が無ければ出せない看板ですね
西条駅に降りた時点でほんのりと酒らしき香りが漂っていたように感じましたが
気分はすでに日本酒モードへ突入です
 

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まずは今回の宿泊先である「東横イン東広島西条駅前」へ
駅からも見えていましたが、実際歩いても3分くらいの所にある便利なビジネスホテルでした
ちなみにこの週は何かの行事があったのか、翌日の土曜日ホテルは満室でした
 

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兵庫の「灘」そして京都の「伏見」と並ぶ、日本三大酒処の一つとして有名な西條
「八反」「雄町」「八反錦」「千本錦」などの酒造好適米の産地が近隣にあること
龍王山の伏流水が井戸水となって湧き出る名水の地であることと、酒の仕込みの時期には気温が4~5℃になり、日本酒造りには理想的な条件が揃っていること
そして何より「吟醸酒のふるさと」とも呼ばれ、その後も品質向上のための努力を怠らない酒造りの技術が有る事
それらがすべて合わさることにより良質な酒が造られる地としての称号として「酒都 西条」と呼ばれているのだと思います
 

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西条駅周辺に7社の酒蔵が立ち並ぶ酒の都で、駅の東側には赤い煙突と白壁の蔵が立ち並ぶ「酒蔵通り」が続いています
 

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そんな西条の酒蔵通りは
夜間ライトアップがなされ、幻想的な雰囲気を醸し出していました


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着いたばかりの西条ですが、すでに晩飯時
「蔵処 樽」と言う居酒屋を予約してありましたので、ホテルに荷物を置いたらすぐに向かいます
お店の場所は西条駅前から5分ほど歩いた「にぎわい広場」という普段は駐車場として使われている場所で
イベント時にはイベント会場となるようです
そんな一角にプレハブでしつられた蔵処 樽がありました
 

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店内には酒樽で作られたテーブル席と座敷席が有り
結構な客でにぎわっていました
 

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座敷席を予約してあったので、こちらに落ち着きます
 

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まず頼む料理は蔵人の賄い料理で酒都西条の郷土料理もある「美酒鍋」
写真は美酒鍋の具材ですが、なんとこれが一人前、しかも1800円でした
 

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鍋は美酒鍋の作り方を記した漫画マニアル
「のん太・東広島ネコさんの 東広島名物 美酒鍋の作り方」にのっとり料理いたしました
 

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料理のポイントは何といっても最初鍋で豚肉とニンニクを塩コショウで味付しつつ炒める事でしょうか
日本酒を注いで煮込み、最後は塩コショーで味を調えいただきます
シンプルな料理ですが、西条酒と野菜のうまみがギュッとつまっていて美味い

注ぐ日本酒の徳利は「加茂鶴酒造」の物でした
そういえば賀茂鶴酒造伝統の美酒鍋は元祖美酒鍋を名乗っていましたね
これが西条おお酒に合わないわけが有りません
 

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さて広島と言って忘れてならないのがカキ
今が旬ですが、カキ小屋を名乗る蔵処 樽のカキフライはこのボリュームで680円
ぷるぷるで大粒のカキを揚げたカキフライはもちろん美味しかった
 

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西条酒に漬け込んだ若鶏を米粉をまぶして揚げた「若鶏のコメカラ」
平成23年に東広島商工会議所商業部会の飲食分科会「西條お酒とお米の会議所」が開発したことからこの名が付いたのだとか
ほんのりと香るお酒の風味と米粉のカリッとした触感が楽しめました


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さて前述の料理を肴に飲むのはもちろん、日本三大銘醸地「酒都西条」の日本酒
棚には日本酒の一升瓶が並び、奥の冷倉庫にもどっさり、手前には燗酒用の器具が並んでいます
どうやら自身でここで勝手に注いで飲んだり、お燗につけたりして飲むといったセルフスタイルのようです
いかにも地元の方々といった感じの方は、この日気温が低かったことから燗酒を好んで飲んでいたようです
 

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飲み放題利き酒コース
1時間1,650円(税込)で西条酒をたっぷりと堪能しました
まずはワイングラスでおいしい日本酒アワード2018の賀茂鶴酒造の「純米吟醸一滴入魂」と幻の酒米 広島錦で醸した純米
 

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嬉しいことに冷蔵庫に入っている銘酒も飲み放題
冷酒好きの私にはたまりません
 

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続いて、賀茂鶴と福美人酒造の純米酒
 

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亀齢酒造の辛口純米八捨と白牡丹の純米吟醸
 

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賀茂泉酒造の山吹色の酒純米吟醸
 

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1時間の時間を目いっぱい使い
飲み放題利き酒コースで日本三大銘醸地「酒都西条」の日本酒をたっぷりと堪能しました







 

東広島にある映画館Tジョイ東広島へやってきました
目的は劇場用日本酒映画「吟ずる者たち」を観るためです
北海道からこの映画を観るだけの為に、飛行機、バス、JR、そしてバスを乗り継ぎやってきたというわけです
 

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午後からは西条酒蔵通りの酒蔵巡りを予定していたので、あらかじめ朝一の上映チケットを予約してありました
映画館のロビーに座って上記の映画を見られるのだろうと思われる方々の顔ぶれは、幾分年配の方のように思えます
 

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鑑賞するのはシアター2
手前の通路には酒樽や映画のシーンのパネル
「吟ずる者たち」公開記念限定ボトルが展示されており、記念撮影スポットと化しておりました
 

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映画の内容はここで語るとネタバレになってしまうので控えますが、劇場用日本酒映画「吟ずる者たち」
比嘉愛未さんが演じる令和の主人公である永峯明日香ですが、実はモデルがいると言われています
それが吟醸酒の父・三浦仙三郎の伝統を色濃く受け継ぎ「百試千改」をモットーにしている安芸津町の「今田酒造本店」
そこの杜氏の今田美穂氏がモデルではないのか・・・と言われているんです
 

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(今田酒造本店「富久長」HPより拝借:クリックすると「富久長」サイトへ)
 

というのも今田美穂氏は酒蔵の長女として生まれたのですが、家業であった酒蔵が嫌いで東京の大学へ進学し、卒業後も東京の百貨店などで働いていたのだそうです
けれどバブル崩壊による仕事の影響や酒蔵の後継ぎ問題が発生したりして、帰らざるを得ない状況になり実家である酒蔵に帰ってきます(映画を見れば何となく共通点が有りますね)
その後家業を継ぎ代表銘柄「富久長」の名を世に轟かす名杜氏となりました
ちなみに今田酒造本店の代表銘柄「富久長」の名は、前述の三浦仙三郎氏による命名と言われています
今田美穂氏は英国BBC放送の「今年の100人の女性(BBC's 100 Women 2020)」に選ばれたことでも有名ですが
きっかけとなった富久長杜氏の今田美穂氏が出演した
映画「カンパイ! 日本酒に恋した女たち」でその雄姿を見ることが出来ます
 


 

そうそう肝心の映画はもちろん感動もの
特にラストシーンの大和田獏さんの演技?が素晴らしかった

広島を襲った豪雨災害や政策資金難、そしてコロナの影響により制作中止も視野にあったそうですが、良くぞ完成してくれたというのが私の感想です
制作に携わったスタッフ、そしてなにより最後のテロップに流れた個人協賛者の方々に感謝感謝です
 



江戸時代に旧山陽道(西国街道)として整備された道
東西にのびる道沿いには、江戸時代には細長く連なる宿場町がありました 
 

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それが現在の「酒蔵通り」と呼ばれている町並みの元になった「四日市」という宿場
そして現代では7軒もの醸造元(蔵元)が軒を連ねる西条の酒蔵通りとして観光地化されています
通りのマンホールにも酒蔵通りをイメージしたマンホールが設置されていました
これは平成23年に酒蔵通りマンホール鉄蓋のデザイン公募を実施、選ばれたのがこのデザインなんだそうです
 

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民家の軒先にあるトレカサの看板
通常はこんな細い路に観光客は入らないといった、風情の有る裏路地
 

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そんな裏路地の先にあった、本当に隠れ家カフェ「カフェ・トレカサ」
築100年以上という明治末年に建てられた民家をリノベーションしたカフェなんだそうです
 

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ちなみに酒蔵通りに人通りはほとんど有りませんでしたが、このカフェだけ客が溢れていました
なにやら人気のカフェだそうで、予約しないとなかなか入れないそうです
ちなみに10分前に伺ったのでが、その時点ではまだ満席なんですと言われるほど
玄関先で空席待ちしているお客さんもいるし、いや〜予約しておいて良かった
 

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スタッフに10分くらいなら待っても良いですよと伝えましたが、そういえば2階が空いているとのことで2階に案内されます
食べログかなにかで見ていましたが、そういえば2階を改装して座敷席にするために休業していたとのことでしたが
是非ともそんな2階席でいただきたいと思っていたので、これは逆に嬉しい
好きな席という事で窓際のカウンター席?をチョイスしました
ここだと足を延ばして座れますし、何よりランチの大きなお盆が楽におけます
 

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ということで私が頼んだのは「牡蠣の酒蒸しとセイロ膳」(税込1,420円)
セイロは蒸したて、写真の通り熱々湯気が出ている状態で提供されました
しっかり蒸された野菜は「甘酒入りごまみそダレ」「甘酒入りゆずポン酢タレ」の2種のタレでいただきましたが
野菜の甘さがしっかりと出ていてます
 

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メニューには「広島県産かきを西条 亀齢の辛口純米酒で蒸したご当地セイロ」と有りましたが、身がふっくらしていて美味しい
付け合わせのお麩がいい感じで蒸されていてタレを絡ませて食べると旨かった
 

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我が家の奥さんは、えび餃子と彩り野菜のせいろ蒸し膳(税込1,360円)
海老餃子を1個分けていただきましたが、ぷりっぷりの餃子でした
 

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食後のコーヒーは50円プラスするとカフェラテに出来るとのこと
そんなカフェラテのラテアートは見事
 

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いや~美味しかった
なるほど予約しなければ食べられないと言うのも頷けます
てなわけで西条に来たらまた寄らせてもらいます



映画を見た後は「西条酒蔵通り」を巡りますが、最初に伺ったのは白牡丹酒造
延宝3年(1675年)年創業と、広島県内で最も古い歴史を持つ酒蔵です
 

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延宝蔵から西条酒蔵通りを挟んだ向かいにも江戸期(1830年頃)に建てられた母屋
それが現在の白牡丹酒造展示室の入口となっていました
 

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予め予約を入れてありましたので
本社展示室を見学せていただくことに
 

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白牡丹酒造の展示室には醸造用の甕や木桶の他
全国新酒鑑評会金賞受賞の賞状など、国内外のコンクールで頂いた賞状が展示されています
こうして見てみるとすごい数ですね
 

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ちなみに白牡丹は文豪夏目漱石や20世紀の美術を代表する世界的巨匠の一人棟方志功が愛飲したことでも有名な蔵で
特に胃弱だった夏目漱石も「白牡丹」だけは愛飲していたと言われています
展示室には棟方志功に創業300周年記念として書かれた絵画、それに版画やロゴなどが展示されています

 

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延宝蔵は入れませんが、天保蔵は一部拝見
昭和に建てられた新蔵と従来の旧蔵が並び立っていますが
天保蔵内通路から赤いレンガの煙突を見ることが出来ました
 

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天保庫内の手前に鎮守社があり
ここで酒造りの安全を祈願がなされるのだとか
 

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このあとスタッフから吟醸酒の話を聞いたのですが、これが分かりやすく
私自身が思っていた疑問が氷解するように説明してくれました
特に劇場用日本酒映画「吟ずる者たち」については、私自身勝手に酒米を研ぎに研ぎまくり精米歩合を極めその精米された酒米で吟醸酒を作る「精米」にまつわる話なのだろうと勝手に勘違いしていました
精米機のブランド企業サタケの創業者である佐竹利一が出てくるとのことでてっきりそう思っていました
白牡丹のスタッフの話だと、当時の技術だといくら頑張っても精米歩合は60%が限界だったとの事です
  

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映画では、明治時代の主人公である三浦仙三郎が、「百試千改」の後、完成させた『軟水醸造法』
軟水は硬水に比べて発酵が進みにくいですが、麹を丁寧に育て、もろみを低温で長い時間をかけて発酵させ醸すといったもの
酵母が発酵を促す前に雑菌を繁殖させないための手段ですが、当時から温度管理や衛生管理にかなり気を使って醸していたようです
これにより腐造が起こりにくいのみならず、しっかりつくった麹により、香りが高く濃醇なうえ、まろやかで繊細な味わいのお酒が出来上がるとのこと、そうそれこそ吟醸酒の本質だったようです
吟醸酒っていうのは私が思っていたより、はるかに器の大きなものだという事が分かりました

しかも三浦仙三郎はこの苦心して開発した軟水醸造法の手法は惜しげもなく広島の酒蔵組合員に公開
そのおかげで全国初の清酒品評会では、竹原の藤井酒造の「龍勢」と倉橋の林酒造の「三谷春」が、優等 1 等,優等 2 等を独占
広島のお酒が灘や伏見をおさえて最高賞を獲得し、全国にその名を知らしめたようです
それが「吟醸酒の父」と言われる由縁だったのですね
吟醸酒の基礎はこうして作られましたが、精米歩合を50%以下にまでにして、大吟醸を醸す言うのは、この醸造法の後の時代の話でした

スタッフからはこれらの他に、吟醸酒や大吟醸酒などに使われる手法として酵母の発酵を停めるため醸造アルコールを使う話
(日本酒に使われる酵母菌は醪のアルコール濃度が20%ぐらいに達すると、自身が出したアルコールにより死滅する)とか
特定名称酒は麹米の使用割合が、15%以上の使用と規定されていなどの話も興味深く聞かせていただきました
いや~勉強になりました
 

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最後に折角だからと普段やって無い試飲もしていただきました
ラベルが見えると先入観が先に出てしまうと、ラベルを隠して試飲
まずは「広島の酒 原酒」加水なしで度数が20度弱と高く、やや甘口
次に三浦仙三郎の時代にはまだ叶わなかった「映画 吟ずる者たち 公開記念限定ボトル 吟ずる者たち 純米大吟醸」
そして「純米大吟醸」を頂きました
 

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帰りに白牡丹展示室 限定酒ショップで土産を購入
ここでしか買えないお酒が並んでいますが、酒まつりにおける白牡丹の振る舞い酒「純米にごり酒」を少量ですが特別に販売しているとのことで今回購入してきました
 

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白牡丹酒造展示室向かい側には西條鶴酒造
残念ながらこの日はお休みで伺う事は叶いませんでした
 

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日本三大酒処として知られている東広島市西条
JR西条駅前の「西条酒蔵通り」には7つの酒蔵が集まっていますが、これだけ近辺に複数の酒蔵が点在するのは珍しいのだそうです
日本酒好きにはたまらないシュチュエーションですが、しかもそこを訪ずね歩く「西条酒蔵通り巡り」と言う地元や西条酒を愛する親しみあふれる地元のボランティアガイドによる有料のガイドツアーがありました
緑色のジャンバーを着ている方がそのボランティアガイドですが、この日は近畿大学工学部(広島キャンパス)の学生さんの、「酒蔵通りの宝を探せ!」~観光ボランティア体験というプログラムが開催されていました

ということで私もこの東広島市観光協会にボランティアガイドのよる西条酒蔵通りまちあるきを予め予約してありました
勝手に歩き回っても楽しめますが、ガイドブックには明記されていない、地元の方ならではのいろいろな情報がガイドさんを通じて聞き出せるので、こうした街歩きのボランティアガイドは有れば極力予約して参加しているんです
それに普段から歩き回っているので酒蔵のスタッフとも顔見知りなことからスムーズに見学
写真撮影も酒蔵の方に予め了解をもらっていただいたり、1組千円のガイド料はかなりお得でした
 

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白壁やなまこ壁、赤瓦、杉玉と、酒蔵の象徴的な外観
赤煉瓦の煙突に亀齢醸造元と記されていますが、ボランティアガイドとともに最初にお邪魔するのが
甘口の酒が多い広島で、代々飲み口がスッキリとした辛口を貫いている亀齢酒造
何といっても「酒はキレイ」のキャッチコピーをもつ酒蔵です
白壁には家紋「一文字三星紋を丸で囲った紋」が蔵に彫られていますが、先祖が毛利家の家来だったということです、そうここ西条は元々毛利元就の治めた安芸国だったんですね
酒蔵に「水」の文字が書かれているのは、火事に合わないようにというまじないの意味があるのだとか
ガイドさんと歩くとこうした情報が逐次入ってきて楽しい
 

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「鶴は千年、亀は万年」
長命と永遠の繁栄の意をこめて名づけられた「亀齢酒造」
明治元年(1868年)創業
創業当時は「吉田屋」という屋号で、丹精込めて造る酒はもともと「吉田屋の酒」といわれていたそうです
その後、「鶴は千年、亀は万年」で知られる長寿のシンボルにあやかって「亀齢」と命名「長命と繁栄の酒」として知られているのだとか
 

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門手前には仕込水である竜王山の伏流水を汲むことができる井戸が有りますが、看板には「万年亀井戸(まねきいど)」と書かれていました
いつでも誰でも仕込み水を汲んでいっても良いのだそうですが、仕込み中は枯れてしまうこともあるのだとか
 

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敷地内にある酒蔵を改修した直売所兼土産物売場「万年亀舎(まねきや)」が有るので立ち寄ることに
 

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ここには日本酒にまつわるオリジナルグッズが多数並んでいます
 

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その他展示物にはウミガメの剥製や祝い酒用の酒樽
一升瓶用のラベル、酒器なども展示
 

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ついで、ここはガイドさんが顔だったようで、blogで使いたい旨、話した写真撮影もOK
そのうえ北海道からわざわざ来ているのなら折角なので試飲していきなさいと(ガイドさんは、東広島市観光協会からの情報で私が札幌から来ていることを室ています)タンクで熟成している日本酒の中から味ののっている日本酒を何種類か厳選し、ブレンドして作られるのが「吉田屋の酒」を試飲していきました
試飲しながらも、東広島市で毎年開かれている「酒まつり」を参考に、姉妹都市の関係で北広島で行われているイベント「北の酒まつりinきたひろしま」の話題で盛り上がりました
 

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ともとの屋号「吉田屋」を冠した、酒蔵に足を運んだ人しか購入できない蔵元限定酒
「吉田屋の酒」を購入して蔵を後にします
 

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ボランティアガイドと巡る西条酒蔵通り
2軒目は「賀茂泉酒造」
ちなみにこの蔵の他にも「賀茂」の名が付いた蔵が有りますが、それはこのあたりがもともと広島県賀茂郡という行政区画の区域にあたっていたからなんだそうです(現在は市町村合併により東広島市となっています)
今ではここ「賀茂泉酒造」と「賀茂鶴」酒造にその名が残っているだけなのだとか

さてその賀茂泉酒造
創立は大正元年(1912年)と100年以上の歴史が有りますが、実は西条の酒蔵の中で、最も新しい蔵元なんです
醸造アルコールなどを添加した「三増酒」が主流だった昭和40年代のはじめ、本来あるべき日本酒の姿である、米と米麹だけで醸す「純米酒」造りに取り組んだ、言わば純米醸造のパイオニアです
昭和47年、当時としては画期的な精米歩合60%の、後に言う「純米吟醸酒」を発売、その名を全国に広めたそうです
 
 
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これはボランティアガイドさんから聞いたのですが
賀茂泉酒造土蔵の妻壁には見事な大黒天と恵比寿天を描いた鏝絵が描かれていました
(ちなみに恵比寿天は、右手に賀茂泉のロゴマークが彫られた徳利を持ち、左手に大きなタイを抱えています。大黒天は米俵に立って、右手に打ち出の小づちを持ち、左手に御猪口を持っています。)


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さて賀茂泉酒造と言えば「酒泉館」
賀茂泉酒造の敷地内にある旧県立醸造支場を改築した、レトロな洋館「酒泉館」は土日祝日の営業
この日は土曜だったこともありもちろん訪問いたします
 

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酒泉館前には吟ずる者たちに登場した橋爪陽の銅像が鎮座しています
映画の中では安芸津の水が軟水であり、灘や伏見の硬水と違うことを三浦仙三郎に伝えていました
実際に橋爪陽は酒造技師広島県西条清酒醸造支場場長として西条に赴任し
西条に適した酒造法を開発した西条酒の恩人の一人とされています


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早速中へ、ここには「お酒喫茶・酒泉館」があり
賀茂泉酒造のお酒が常時20種類以上、飲み比べができる喫茶コーナーがあったはずなのですが
現在はコロナの影響で飲み比べは中止、テーブルなどは撤去され単なる販売所となっていました


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お酒喫茶・酒泉館で一番気になったのはこの「幻の酒壺」
酒泉館だけの蔵出し限定酒をガラス瓶に注ぐ量り売りしているんだそうです
残念ながらまだ仕込み時期ではないため、限定酒は有りませんでした
 

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隣のお酒図書室には
映画吟ずる者たちのロケが行われた場所があったのでここで記念撮影
 

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酒泉館裏口から外に出ましたが
酒泉館裏側にある建物はもともとお米の精米所として使われていた建物なんだそうです
 

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そんな精米所は改装して「藍染工房 藍泉館」になっており
ここで工房見学、藍染体験が出来るんだそうです
 

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そんな藍染工房藍泉館を覗いてみましたが
何だかレトロな分電盤らしきものが見て取れます、これって大正時代のものでしょうか?
その上には「摩利支天」らしき仏画が貼られていました
摩利支天のご利益として盗難、水難、火難を避けることができるといわれているので、火災からこの建物を今でも護っているのですね


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ここは賀茂泉酒造の裏側にもあたりますが、レンガではありませんがこれまたレトロな雰囲気の煙突
「本仕込 賀茂泉」と書かれていました
高さはかなりありそうです
 

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裏の空き地には、ホーローの仕込み樽が並んでいました
ガイドさんから聞いたところ、今のステンレスの仕込み樽は傷の修復は難しいそうですが
この時代のホーローの仕込み樽はガラスで修復が可能なためかえって長く持つのだとか
まぁそれでもやはり現在ではステンレスが主流ですよね
 

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ちなみに室内での利き酒はコロナ感染症予防の観点で出来ませんが、外では可能なんだそうです
ということでこれまた映画「恋のしずく」のロケで使われたベンチで


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「プレミアム飲む比べセット(賀茂泉の大吟醸バラエティセット)ハーフサイズ990円」をいただきます
 

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4種は
「純米大吟醸 生酒」
「純米大吟醸 白寿」(広島県が開発した酒米「千本錦」と酵母「広島もみじ酵母」で醸した精米歩合40%の純米大吟醸
「純米大吟醸 皇寿」(山田錦を精米歩合35%まで削り低温でじっくりと発酵)
「大吟醸 大古酒」(35%の精米歩合の大吟醸を約7年間熟成)
 

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気に入ったのが「大吟醸 大古酒」
写真で見ても山吹色の色が付いているのが分かりますが熟成され落ち着いた感じの味でした
 

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続いて高さは25メートル西条一の煙突を擁する福美人酒造
酒都西条で酒造学校と呼ばれた蔵元です
1917年に西日本中心の酒造会社の出資によってできた、日本で最初の株式会社としての酒造メーカーです。
設立の4年後から、品評会で最優秀賞を獲得するなど、その技術が高く評価されており、「どうしてそんなお酒ができるのか」「教えてもらいたい」と、酒造関係者や株主の酒造会社から技術の教授を要請されました
大正から昭和にかけて、全国の杜氏や杜氏志願者が、福美人酒造の優れた酒造りの技術を学ぼうと訪れました、そんなわけで福美人はいつしか通称「西条酒造学校」とも呼ばれるようになったのだそうです
 

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恵比寿蔵手前には、洋風外観を持つ青い建物が有ります
塗装が長いことなされていないのか、ちょっと残念な外観に
 

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酒蔵のほうは仕込み前の土曜日ということもあり、現在はひっそりとした空間でした
 

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恵比寿蔵の展示スペースは見学が可能
醸造に使われていた道具や陶器の酒樽が展示されています
 

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そんな展示物の中、特筆するのが壁一面に貼られた歴代内閣総理大臣の色紙
色紙全てには『國酒』と書かれています
前述の通称「西条酒造学校」とも呼ばれるほどの福美人酒造
西条で唯一「國酒」に認定されているようです

ちなみにこの國酒というキーワード
発端は今から30年前、大平内閣のとき、日中国交回復の晩餐会にてホスト国である中国が自国の酒「白酒」でカンペーし日本を歓待したことがありました
これ感動したのでしょう当時の大平首相は、日本には伝統の酒である日本酒や焼酎があるのに、我が国での外交晩餐会はフランス料理にワインなどで乾杯をしている、これはいけないと思い立ち、日本酒・焼酎を「國酒」と命名し、乾杯の際に使用することを提案したとのこと
何だかいい話ですね

ちなみにこの國酒の色紙は
創業明治16年の老舗の泡盛の蔵元「まさひろ酒造」
泡盛まさひろギャラリー

酒豪が競う大杯飲みが名物の奇祭「どろめ祭り」で飲まれる
高知の地酒「豊能梅」を醸す高木酒造酒蔵
などでも見ておりました

ただここ福美人酒造の國酒の色紙ですが、菅元総理までの歴代総理の色紙は有りましたが、地元広島選出の岸田総理大臣の色紙はまだ有りませんでした
英国で行われたCOP26や選挙等で忙しかったのでしょうが、是非とも早いところここに岸田総理の色紙を大々的に掲げてもらいたいものです
 

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そうそう福美人酒造と言えば忘れてならないのが、広島カープが資金難に陥り存続の危機に立った際、実際に使われた「カープたる募金」
昭和26年創立からまだ2年後には解散もしくは合併がささやかれたとき(現実に大洋ホエールズとの合併は一度承認されている)
そんな時に広島市民は老若男女問わず、カープになけなしの金を差し出した
その象徴となったのがこの「カープたる募金」なんだそうです
原爆が落とされてまだわずか6年後の話です、当時はみな生活は苦しかっただろうし
何だか泣けてくるお話です
 

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続いて恵比寿蔵の試飲・販売コーナーへ
 

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ここには自慢の銘酒や蔵限定のお酒がずらり
 

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もちろん試飲も有料で出来ますので、ここはもちろん試飲
 

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オススメ!とある3種を頂きますが
まずはスッと入る喉ごし、すっきりとした甘口「特別純米酒 ひめあま」
フルーティな香り、辛口でキレの良さ「純米吟醸 原酒 STRONG DRY」
蔵でしか味わえない、希少な逸品 ポタポタ搾る「しずく酒」
と言った具合
 

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中でも特別純米酒ヒメアマは白麹を使った飲みやすい日本酒でした
麹には白こうじを20%使用とありましたが、表示されている通り
クエン酸たっぷりですっきり爽やか、するりと呑みやすい日本酒でした
 

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ボランティアガイドと巡る西条酒蔵通り
最後を飾るのは、賀茂鶴酒造
歴史ある酒蔵等の酒造関連建築物等自体が国の登録有形文化財に登録されています
まぁ逆にそのおかげ改築などがしづらいんでしょうね
 

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赤煉瓦の煙突が2本見え酒造の町西条らしい景観が望めますが
手前が賀茂鶴酒造二号蔵煙突(明治後期)、奥の煙突が賀茂鶴酒造三号蔵煙突(大正前期)
これももちろん登録有形文化財
 

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酒蔵通りの特徴はなにも煙突だけではありません
西条酒蔵通りの建築物の中で特徴的なのが、黒い地に格子模様が付いているというなまこ壁と呼ばれる壁
白壁の酒蔵によくマッチしていますし
なかでも賀茂鶴酒造のなまこ壁がひときわ際立っています
 

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そんな酒蔵で布が干されている風景に出逢いました
干されているのは酒を絞る際に使う酒袋でしょうか
その下には仕込みが近いのか、広島産と書かれた国産加工用米(酒造用精米)が出番を待っていました
 

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続いて屋根ですが、広島県あたりの瓦屋根はほとんど赤茶色なのが特徴
なかなか良い顔をした鬼瓦や他に鳩などの鳥の瓦があり、蔵の前に展示されていました
 

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賀茂鶴酒造本社事務所 木造二階建の洋館
こちらも登録有形文化財に登録されています
昭和前期に建てられたようですが、建物の外壁は下の板に上の板を重ねていく
いわゆる「下見板張り」
私の住む札幌において重要文化財に指定されている木造建築物(豊平館や北海道大学農学部)にもよく見られる建築手法です
 

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そんな賀茂鶴酒造本社事務所の隣に、広島藩の本陣跡御門がありました
平成18年に今上天皇が皇太子時代に酒蔵通りを視察された際、この本陣跡御門のそばに記念樹が植樹されたそうです
 

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この本陣跡御門が有った場所は江戸時代に西国街道の宿場町として栄えた
西条四日市(現在のJR西条駅東側)に御茶屋と呼ばれていたそうです
そんなことが書かれていた掲示板の下には「加茂鶴 見学室直売所・駐車場」の看板が・・・
 

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ということで次は
移転して新しくなった賀茂鶴 見学室直売所へ


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酒都西条の酒蔵の中で、最も規模が大きいのが、賀茂鶴酒造
設立は大正7年(1918年)
2年ほど前に登録有形文化財(建造物)に指定された明治時代初期の建造物である酒蔵・一号蔵を改装し、見学室直売所としてオープンさせたとのこと
ということで今回、新しくなった見学コースを堪能させていただきます
 

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まずは玄関先にはつい稲干台で干されている酒米が展示されています
 

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見学室直売所にも穂の高さを見せたいのか
左から
「コシヒカリ(飯米)」
「反丹錦(酒米)」
「山田錦(酒米)」
「広島錦(酒米)」
と順を追って穂が高くなっている実物が展示されていました
広島錦のような古米は130cmほどにもなるとのことですが、得てして古米は稲の穂が高いのが特徴なんだそうです
まぁこれは現代の技術で育てやすい稲の穂が低く改良しているためかと思われます
 

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酒米を蒸す際に使う日本最大級の木製の大甑(おおこしき)の実物展示
竹で編んだタガが見事ですが、いまこうした大甑を造れる職人さんが極端に減ってしまい
直したり新しい甑を造るのが難しい状況だそうです
ちなみに職人が減った理由の一つに風呂桶が木桶からプラスチックに取って代わられたのが大きいのだとか
そうした中、賀茂鶴酒造では今でも仕込みの際に米を蒸す甑は木製なんだそうです


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麹を造る室(むろ)と呼ばれる小部屋を再現したブースもありますが
部屋は檜で覆われているようで、雰囲気が出ていますね
賀茂鶴では「酒の神が宿るという神聖な場所」
ただ、麹を造る最中は外の冷気を遮断して麹菌の生育に適した約30℃に保たれているそうで、なかなか大変そうです
 

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麹菌がさかんに生育し始めると、蒸米を小さなこの麹蓋に小分けする「盛り」が行われます
そして麹菌の生育に合わせて温度を管理するのだとか
 

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「もろみ」の工程で使用されるタンクも展示
櫂入れに使われる竹の櫂も添えられ、見学室直売所一の映えスポットとなっていました
 

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そして最後は上槽
酒を搾るのはこの「木槽(きぶね)」
今ではヤブタあたりの自動圧搾ろ過機で搾っているのでしょうけど
かつて実際に酒造りで使用されていた木槽をそのまま展示していました
 

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続いて直売所
 

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ここにはここでしか買えない
「映画 吟ずる者たち 公開記念限定ボトル」や「純米酒 にごり酒 季節限定酒」「純米酒 ひやおろし」「四杜氏四季酒 純米酒 しぼりたて」など直売所限定酒が並んでいました
 

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けれど賀茂鶴酒造と言って忘れられないのが
大吟醸酒の先駆け「大吟醸 ゴールド賀茂鶴」
 

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オバマ大統領が来日した際に安倍首相と会食した東京・銀座のすし店「すきやばし次郎」
カウンターに座り安倍首相がオバマ大統領にお酌をする姿が新聞で報道されましたが、その時お酌したのが、上の写真にある「大吟醸 特製ゴールド賀茂鶴(角瓶180ml)」で、日本酒好きにその酒の名が広まりました
一つ気になるのが、その時何故安倍総理の地元である山口県の蔵元「旭酒造」の『獺祭』が使われないのか不思議でした
実は獺祭を出す事に対して政府関係者から提案があったそうですが、すきやばし次郎の小野次郎さんの許可が取れなかったのだとか
まぁ獺祭は土産に落ち着いたようです
 

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(賀茂鶴酒造HPより拝借)
 

というのも「すきやばし次郎」では1965年頃から「大吟醸・特製ゴールド賀茂鶴」が店に置かれ提供されていたそうで
そんな知らない酒はうちにはおけねぇといったところでしょうか
仮にも一国の首相の頼みよりも頑固な職人気質が勝っていたようです
ちなみにその小野次郎さん、お酒は嗜まない方だとか
 

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さて次はここでお楽しみの「プレミアム BAR」
ここでは大吟醸などが有料試飲できます
 

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有料試飲は「三種のみ比べ」
「純米大吟醸 広島錦」
「大吟醸 双鶴賀茂鶴」
そして本来なら「純米大吟醸 広系酒33号」のはずが、在庫が無いことから
「大吟醸 特選ゴールド賀茂鶴」
そうあのすきやばし次郎で安倍総理がオバマ大統領をもてなした際に酌み交わした日本酒になりました
試飲した感想ですが、確かに飲みやすい酒ですが私自身は普通の大吟醸にしか感じませんでした
 

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最後に酒造り解説ムービー『賀茂鶴の酒造りについて』を約10分鑑賞
イスが酒樽というのが良いですね
 

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こんな感じでボランティアガイトとともに巡る酒都西条の酒蔵通りは終了
いろいろ為になるお話を聞かせていただいたガイドさんに感謝し
次はお酒の神様を祀る「松尾神社」へ

酒蔵巡りの後は西条駅裏側にある御建公園の中にに鎮座する御建神社拝殿にて参拝
今回レンタカーを使わない旅なのでこうして交通機関や歩いて行けるのは嬉しいですね
この神社は祭神として素戔嗚命(すさのおのみこと)・事代主命 市杵島姫命等を祀られています
 

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もちろん御朱印も賜りました
 

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他の神社との違いは何といっても
寄進された酒樽が山積だということ
 

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この日、酒蔵通りをガイドさんと回りましたが
その際訪れた西条の酒蔵の酒樽がずらり
 

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続いて拝殿向かって左側にある
「御建神社 神楽殿?」
 

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この舞台で「祇園まつり」などの際に太鼓や神楽が奉納されるようです
 


 

そんな宵宮で気になったのが旧海軍駆逐艦「深雪(吹雪型4番艦)」の絵馬
「昭和60年初秋 乗組員 小川忠美」とありますので、おそらくは元乗組員小川さんが奉納したのでしょう
済州島南方海域で演習中、駆逐艦「電」と衝突し沈没大部分の乗組員は救助されたが5名が殉職しているとの事
西条からほど近い軍港の有った呉海軍基地に慰霊碑が有るそうですが、なぜここにこれが有るのか不明なんだそうです
 

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続いてここに来た目的の
拝殿向かって左側に「酒神松尾神社」がありました
昭和初年、山城伏見の松尾神社の分霊を境内に勧請し酒都西条の酒の守護神とし、毎年酒造期の11月には町内の酒造家によって厳粛に祭礼が行われているそうです
まぁ出来ることならこちらの松尾神社の御朱印も賜りたかった
御建神社の社務所で聞いたところ無いとの事でしたが、あれば酒好きの方が喜ぶと思うんですけどね
 

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西条割烹しんすけの「酒蔵御膳」

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宿泊するホテルから西国街道(山陽道)沿いに歩いて数分のところにある山陽鶴酒造へとやってきました
蔵に書かれた家紋らしきものを最初観たときはJALの鶴丸に見えてしまいました

前回伺った時に山陽鶴のおかみさんと野球の話などしながら楽しく有料試飲山陽鶴酒造試飲コーナーで角打ちのように飲みまくるさせていただいたのを覚えています
今回は伺ったのが遅かったのか、コロナの影響かお店は残念ながら閉まっていました


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さてここへやってきたわけは、前回お邪魔することのできなかった
「季節料理 割烹しんすけ」にて晩飯を食べるため
この割烹しんすけ
「ミシュランガイド2013広島 特別版」「ミシュランガイド2018広島・愛媛 特別版」
そして今年度の「ミシュランガイド2021広島」でビグルマンとして掲載されているお店で
大変人気が有るようで、この日の晩は予約の無い方は返されていたようでした
 

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お店は山陽鶴酒造の酒蔵の一部を改装して作られているだけあって、コンクリートの土間に天井の立派な梁が見て取れます
 

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今回は準備万端
窓から中庭の日本庭園の眺望を楽しめる特等席を予約してありました
 

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山陽鶴酒造の中庭だったのでしょう
なかなかの景観です
 

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通路を挟んで反対側には山陽鶴酒造をはじめとした日本酒がずらり
 

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ということでまずは山陽鶴五酒セット
(大吟醸・純米吟醸・本醸造・麗酒・おり酒)
これは食事を楽しみつつ中庭を眺めつついただきます
 

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ということでまずはチェイサー替りのビールで乾杯
続いててんぷら、冷製茶わん蒸しの載せられたお盆がやってきました
 

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次に運ばれてきたのが、三段重
間髪を置かずお造り・鯛のあら汁潮仕立てが運ばれてきました
三段重には酒粕を使った胡麻豆腐やモズク、煮凝りのゼラチンがトッピングされた海鮮サラダ、手毬寿司に鯖焼き、和風味玉と言ったものでどれもひと手間かかった職人の料理
お造りは鯛と鰹、さわら
ワサビの他にカボスが添えられていました

どうでしょう、なかなかゴージャスじゃないですか
 

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料理は特に鯛のあら汁潮仕立てが絶品でした
 

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ほどなくご飯と味噌汁が運ばれてきましたが
入野の舞茸に鯛の出汁の効いたご飯に鯛の身がまぶされていました
 

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最後にデザートを頂きお腹いっぱい
いゃ〜ご馳走様でした
京都や大坂などで日本料理を長年修業した城田慎介さんの割烹料理を堪能いたしましたが
今回頂いた酒蔵御膳は、これで3,300円と大変お得感なコース
なるほどビグルマンなわけですね

さてまだ朝の8時前ですが、酒都西条を後にします
そう飛行機がANA・JAL揃って午前便しかないのが広島~新千歳なんです
まずはJR山陽本線で西条から白市を目指しますが、西条駅では昨年2月に登場した
JR貨物「桃太郎」ラッピング仕様の新製機関車EF210形316号機「ECO-POWER 桃太郎」が構内に停まっていました
 

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もっとも乗車するのはJR西日本227系電車「レッド ウィング(赤い翼)」
広島カープ色の電車です
 

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白市駅からは路線バスである芸陽バスに乗り換え広島空港へ
その広島空港の年間利用客数は中国地方で最大
国際線ターミナルまでもつ結構大きな空港です
 

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搭乗する飛行機は午前10時50分のJL3403便ということで
2時間余り時間が有ります
晩飯にする空弁を買おうにもまだお店が空いていないので、3階の展望デッキでちょいと飛行機を眺めることに
 

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ボディングブリッジに繋げられたエアバス A321が見て取れますが、これは羽田行きかと思われます
 

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こちらはボーイング767-300ER
これも羽田行き
広島~羽田は日に16便も飛ぶ人気路線のようです
 

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そんな感じで時間をつぶしたあとは土産と弁当を買いに出発ロビーへ
 

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ここで今晩の晩飯となる空弁を買うことに
ちなみにここのお弁当屋「浜吉」さんは広島空港名物の「あなごめし」を売っていることで有名ですが、空港には珍しくなぜかクレジットカードが使えませんでした
 

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さっさとセキュリティを潜ったら
広島空港JALサクララウンジへ
4年前にリニューアルしたそうですが、今回初潜入となりました
 

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伺ったのは日曜日でしたが、搭乗時間の1時間半前という事もあり誰もおりません


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奥にリラックスエリアがあり
テーブルには電源(USB電源も)が備えられているのでこちらに陣取ります
 

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ドリンクコーナーがこちら
 

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この日は車の運転もないという事もあり
まだ朝の9時ですが、樽生ビールをいただくことに
銘柄は
「キリン一番搾り」
「サントリー モルツ」
「サッポロ 黒ラベル」
「アサヒ スーパードライ」
の4種
 

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つまみはラウンジに置いてある
「えだまめちっぷす」「うめしそ柿の種」
「えだまめちっぷす」がビールに合い美味い
 

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そうそう空弁の「あなごめし」と「二代目あなごあいのせ重」は自宅に着いてから
晩飯に頂きましたが、やはりこれは旨い
クレカ拒否のお店で拒否したい気持ちもありましたが、ここは美味しいんだから仕方ないといったところでしょうか
 

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さて天気予報に反し、この日は晴天
乗った飛行機は一路日本海方面へ
そこで鳥取県のシンボル伯耆大山が見えてきました
雲を被っており最高峰の剣ヶ峰は観ることは叶いませんでしたが、山の頂上から裾野に向けて白い筋のようなものが見えます
ちなみに伯耆大山はスサノオが八岐大蛇を退治するいわゆる「ヤマタノオロチ伝説」の候補地の一つです
ちなみに物理学者の寺田寅彦はヤマタノオロチについて溶岩流を連想させるとこう述べています
「その目は赤かがち(ほおづき)のようで、ひとつの身体に頭が8つ、尾が8つあります。その身体にはコケやヒノキやスギが生え、その長さは8つの谷、8つの山に渡り、その腹を見ると、一面がいつも血にまみれてただれています」
確かに溶岩流が土砂を溶かしながら山筋に沿って、赤く光りつつ山裾に分かれながら流れていくという情景が飛行機から眺める伯耆大山のこの白い筋を見ていると何だか想像できる気がしてきました


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さらに鳥取方面へ進んだところで眼下に鳥取砂丘を見ることも出来ました
こんな感じで遊覧飛行しながら新千歳空港へ向かう事に
 

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こんな感じで製作段階から見たくてしょうがなかった
劇場用日本酒映画「吟ずる者たち」
広島で先行上映がなされると聞きわざわざ飛行機まで使って見に来ましたが
西条の酒蔵見学や、西条酒を飲みながらの食事も良かったので
まぁこれはこれでよかったという事にしておきます
私の住む札幌ではこの映画の上映は来年以降となるようですが
興味がある方がいたらぜひ映画館に足を運んで見てもらいたい映画でした
 

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