西条酒蔵通り「白牡丹酒造」酒蔵見学

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映画を見た後は「西条酒蔵通り」を巡りますが、最初に伺ったのは白牡丹酒造
延宝3年(1675年)年創業と、広島県内で最も古い歴史を持つ酒蔵です
 

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延宝蔵から西条酒蔵通りを挟んだ向かいにも江戸期(1830年頃)に建てられた母屋
それが現在の白牡丹酒造展示室の入口となっていました
 

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予め予約を入れてありましたので
本社展示室を見学せていただくことに
 

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白牡丹酒造の展示室には醸造用の甕や木桶の他
全国新酒鑑評会金賞受賞の賞状など、国内外のコンクールで頂いた賞状が展示されています
こうして見てみるとすごい数ですね
 

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ちなみに白牡丹は文豪夏目漱石や20世紀の美術を代表する世界的巨匠の一人棟方志功が愛飲したことでも有名な蔵で
特に胃弱だった夏目漱石も「白牡丹」だけは愛飲していたと言われています
展示室には棟方志功に創業300周年記念として書かれた絵画、それに版画やロゴなどが展示されています

 

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延宝蔵は入れませんが、天保蔵は一部拝見
昭和に建てられた新蔵と従来の旧蔵が並び立っていますが
天保蔵内通路から赤いレンガの煙突を見ることが出来ました
 

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天保庫内の手前に鎮守社があり
ここで酒造りの安全を祈願がなされるのだとか
 

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このあとスタッフから吟醸酒の話を聞いたのですが、これが分かりやすく
私自身が思っていた疑問が氷解するように説明してくれました
特に劇場用日本酒映画「吟ずる者たち」については、私自身勝手に酒米を研ぎに研ぎまくり精米歩合を極めその精米された酒米で吟醸酒を作る「精米」にまつわる話なのだろうと勝手に勘違いしていました
精米機のブランド企業サタケの創業者である佐竹利一が出てくるとのことでてっきりそう思っていました
白牡丹のスタッフの話だと、当時の技術だといくら頑張っても精米歩合は60%が限界だったとの事です
  

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映画では、明治時代の主人公である三浦仙三郎が、「百試千改」の後、完成させた『軟水醸造法』
軟水は硬水に比べて発酵が進みにくいですが、麹を丁寧に育て、もろみを低温で長い時間をかけて発酵させ醸すといったもの
酵母が発酵を促す前に雑菌を繁殖させないための手段ですが、当時から温度管理や衛生管理にかなり気を使って醸していたようです
これにより腐造が起こりにくいのみならず、しっかりつくった麹により、香りが高く濃醇なうえ、まろやかで繊細な味わいのお酒が出来上がるとのこと、そうそれこそ吟醸酒の本質だったようです
吟醸酒っていうのは私が思っていたより、はるかに器の大きなものだという事が分かりました

しかも三浦仙三郎はこの苦心して開発した軟水醸造法の手法は惜しげもなく広島の酒蔵組合員に公開
そのおかげで全国初の清酒品評会では、竹原の藤井酒造の「龍勢」と倉橋の林酒造の「三谷春」が、優等 1 等,優等 2 等を独占
広島のお酒が灘や伏見をおさえて最高賞を獲得し、全国にその名を知らしめたようです
それが「吟醸酒の父」と言われる由縁だったのですね
吟醸酒の基礎はこうして作られましたが、精米歩合を50%以下にまでにして、大吟醸を醸す言うのは、この醸造法の後の時代の話でした

スタッフからはこれらの他に、吟醸酒や大吟醸酒などに使われる手法として酵母の発酵を停めるため醸造アルコールを使う話
(日本酒に使われる酵母菌は醪のアルコール濃度が20%ぐらいに達すると、自身が出したアルコールにより死滅する)とか
特定名称酒は麹米の使用割合が、15%以上の使用と規定されていなどの話も興味深く聞かせていただきました
いや~勉強になりました
 

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最後に折角だからと普段やって無い試飲もしていただきました
ラベルが見えると先入観が先に出てしまうと、ラベルを隠して試飲
まずは「広島の酒 原酒」加水なしで度数が20度弱と高く、やや甘口
次に三浦仙三郎の時代にはまだ叶わなかった「映画 吟ずる者たち 公開記念限定ボトル 吟ずる者たち 純米大吟醸」
そして「純米大吟醸」を頂きました
 

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帰りに白牡丹展示室 限定酒ショップで土産を購入
ここでしか買えないお酒が並んでいますが、酒まつりにおける白牡丹の振る舞い酒「純米にごり酒」を少量ですが特別に販売しているとのことで今回購入してきました
 

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白牡丹酒造展示室向かい側には西條鶴酒造
残念ながらこの日はお休みで伺う事は叶いませんでした
 

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このページは、r-ohtaniが2021年11月14日 07:06に書いた記事です。

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