酒都西条の酒蔵の中で、最も規模が大きいのが、賀茂鶴酒造
設立は大正7年(1918年)
2年ほど前に登録有形文化財(建造物)に指定された明治時代初期の建造物である酒蔵・一号蔵を改装し、見学室直売所としてオープンさせたとのこと
ということで今回、新しくなった見学コースを堪能させていただきます
まずは玄関先にはつい稲干台で干されている酒米が展示されています
見学室直売所にも穂の高さを見せたいのか
左から
「コシヒカリ(飯米)」
「反丹錦(酒米)」
「山田錦(酒米)」
「広島錦(酒米)」
と順を追って穂が高くなっている実物が展示されていました
広島錦のような古米は130cmほどにもなるとのことですが、得てして古米は稲の穂が高いのが特徴なんだそうです
まぁこれは現代の技術で育てやすい稲の穂が低く改良しているためかと思われます
酒米を蒸す際に使う日本最大級の木製の大甑(おおこしき)の実物展示
竹で編んだタガが見事ですが、いまこうした大甑を造れる職人さんが極端に減ってしまい
直したり新しい甑を造るのが難しい状況だそうです
ちなみに職人が減った理由の一つに風呂桶が木桶からプラスチックに取って代わられたのが大きいのだとか
そうした中、賀茂鶴酒造では今でも仕込みの際に米を蒸す甑は木製なんだそうです
麹を造る室(むろ)と呼ばれる小部屋を再現したブースもありますが
部屋は檜で覆われているようで、雰囲気が出ていますね
賀茂鶴では「酒の神が宿るという神聖な場所」
ただ、麹を造る最中は外の冷気を遮断して麹菌の生育に適した約30℃に保たれているそうで、なかなか大変そうです
麹菌がさかんに生育し始めると、蒸米を小さなこの麹蓋に小分けする「盛り」が行われます
そして麹菌の生育に合わせて温度を管理するのだとか
「もろみ」の工程で使用されるタンクも展示
櫂入れに使われる竹の櫂も添えられ、見学室直売所一の映えスポットとなっていました
そして最後は上槽
酒を搾るのはこの「木槽(きぶね)」
今ではヤブタあたりの自動圧搾ろ過機で搾っているのでしょうけど
かつて実際に酒造りで使用されていた木槽をそのまま展示していました
続いて直売所
ここにはここでしか買えない
「映画 吟ずる者たち 公開記念限定ボトル」や「純米酒 にごり酒 季節限定酒」「純米酒 ひやおろし」「四杜氏四季酒 純米酒 しぼりたて」など直売所限定酒が並んでいました
けれど賀茂鶴酒造と言って忘れられないのが
大吟醸酒の先駆け「大吟醸 ゴールド賀茂鶴」
オバマ大統領が来日した際に安倍首相と会食した東京・銀座のすし店「すきやばし次郎」
カウンターに座り安倍首相がオバマ大統領にお酌をする姿が新聞で報道されましたが、その時お酌したのが、上の写真にある「大吟醸 特製ゴールド賀茂鶴(角瓶180ml)」で、日本酒好きにその酒の名が広まりました
一つ気になるのが、その時何故安倍総理の地元である山口県の蔵元「旭酒造」の『獺祭』が使われないのか不思議でした
実は獺祭を出す事に対して政府関係者から提案があったそうですが、すきやばし次郎の小野次郎さんの許可が取れなかったのだとか
まぁ獺祭は土産に落ち着いたようです
というのも「すきやばし次郎」では1965年頃から「大吟醸・特製ゴールド賀茂鶴」が店に置かれ提供されていたそうで
そんな知らない酒はうちにはおけねぇといったところでしょうか
仮にも一国の首相の頼みよりも頑固な職人気質が勝っていたようです
ちなみにその小野次郎さん、お酒は嗜まない方だとか
さて次はここでお楽しみの「プレミアム BAR」
ここでは大吟醸などが有料試飲できます
有料試飲は「三種のみ比べ」
「純米大吟醸 広島錦」
「大吟醸 双鶴賀茂鶴」
そして本来なら「純米大吟醸 広系酒33号」のはずが、在庫が無いことから
「大吟醸 特選ゴールド賀茂鶴」
そうあのすきやばし次郎で安倍総理がオバマ大統領をもてなした際に酌み交わした日本酒になりました
試飲した感想ですが、確かに飲みやすい酒ですが私自身は普通の大吟醸にしか感じませんでした
最後に酒造り解説ムービー『賀茂鶴の酒造りについて』を約10分鑑賞
イスが酒樽というのが良いですね
こんな感じでボランティアガイトとともに巡る酒都西条の酒蔵通りは終了
いろいろ為になるお話を聞かせていただいたガイドさんに感謝し
次はお酒の神様を祀る「松尾神社」へ
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