裾野を広げる秀麗な山容や山頂に雪が積もった姿が富士山に類似しているため、出羽富士とも呼ばれ親しまれている「鳥海山」
標高2236m、東北第2の高さを誇る独立峰です
そんな雄大で秀麗な鳥海山の麓
由利本荘八島で日本酒「鳥海山」を醸す天寿酒造にやってきました
天寿酒造の軒先には、造り酒屋の象徴ともいえる杉玉が吊るされています
創業は1874年(明治7年)鳥海山が生み出す万年雪の伏流水を使用した仕込み水を使い醸しています
杉玉の隣にある看板には「銘酒天寿」とありますが、天寿は百歳までも幸せに生きる事の意味が込められています
そんな天寿酒造の主な銘柄は「天寿」のほか「鳥海」「鳥海山」があり
酒蔵に隣接するショールームにはそんな日本酒が並んでいます
ここ天寿酒造にやって来たわけは、今回の秋田の旅のテーマ「酒蔵見学」
この年の5月にようやく新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行がなされたことにより
多くの酒蔵でまた見学が可能となりました
ホワイトボードに予約の旨が記されていましたが
先ほどのショールームで待ち合わせ、若いスタッフに導かれての酒蔵見学となりました
まずは資料コーナー
昔の酒造りの様子を彷彿させる道具たち
そして天寿酒造には独自に開発・改造された機械が多々あり
酒蔵の随所に酒造りに対する天寿酒造のこだわりと工夫を見る事となります
たとえばこの精米機
3基ありますが、日本酒の味わいや香りは精米歩合で変わるとまで言われているので
精米の専門業者に委託している小規模の酒蔵では繁忙期には思い通りの精米が出来るとは限らないことから垂涎ものの設備です
精米機が有ることから
当然「米糠」が副産物として作られますが
白糠は食品(製菓・製パン)加工されたり、赤糠は肥料となったりしますが
それが分けられ保管されていました
ここ天寿酒造では
麗峰鳥海山の万年雪が生み出す清らかな伏流水を酒造りに利用していますが
その性質は「軟水」
秋田流低温長期発酵の酒造りにより醸されるのだとか
酒米はこのウッドソンのバッチ式洗米機で
水洗いし、表面に付着した糠やゴミを取り除かれます
そこで登場するのがこの米研ぎ後の水切り作業に用いる脱水機
天寿酒造で独自に開発・改造された機械を紹介いただきました
これは何に使われるか?
洗米した酒米が水切り袋に入れられ吊るされていました
ここ天寿酒造で見た設備で一番驚かされたのがステンレスで覆われたいかにも清潔そうな酒米の蒸場
酒米はここの甑で蒸され放冷機を用い蒸し上がった白米を使用目的に応じた温度まで冷やすとのこと
酒母造りに使われる樽は伺った時期が7月という事もあり
こうして出番を待っていました
さて酒造りは「一 麹、二 もと、三 造り」といわれており、麹は最も大切なものの1つとされています
そんな麹を造る「麹室」
残念ながら内部を見る事は叶いませんでしたが、写真で麹造りの様子を紹介していました
「麹蓋」
盛りと呼ばれる、熱を帯びてきた米麹を小分けにするときに詰める箱状の道具で
これは米を一升ぐらいずつ小分けにして管理を行き届けさせながら、熱をさますのに使われます
手間が掛かる事から大吟醸などの高級酒に使われる逸品ですが、これまた造りは行われていなく出番を待っている状態でした
醪(もろみ)を発酵させている部屋にならぶ
ずらりと並べられたホーロータンク
大吟醸酒に使われるのか?温度管理が容易なサーマルタンクが有りました
長期熟成で醸された醪はこの2台の醪自動圧搾機で搾られ
瓶詰め工場へ
真新しいKOSMEの瓶詰め機で搾られた日本酒を瓶詰するようです
どうやら外国製のようですが、考えてみたらお酒の瓶詰は世界共通でしたね
酒造りで欠かせない工程の一つである「火入れ」
ここ天寿酒造では「瓶火入れ機」による火入れも行われているようです
麹室のすぐ向かいにある、酒を造る元となる清酒酵母を作る酒母室
現在造りが行われていないことから、製品となった日本酒が貯蔵されていますが
そんな日本酒の箱には「アメリカ」とメモ紙が貼られていましたが
この鳥海山はアメリカに輸出されるようです
アメリカでは日本酒がブームという事ですが、こんなところでそれを見るとは思いにもよりませんでした
こんな感じで、酒蔵見学は終了
ショールームに戻ってきました
来た時には気づきませんでしたが、内閣総理大臣菅義偉氏の「國酒」が誇らしげに掲げられていますが
そういや菅元総理は秋田県の秋ノ宮村の出身でしたね
そんなショールームで蔵元限定販売のグリーボトル純米大吟醸「鳥海山」生酒を購入
忙しい中、酒蔵を案内いただきありがとうございました