東北の灘と称される秋田湯沢の酒蔵、木村酒造で酒蔵見学

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秋田県湯沢市は藩政時代から酒造りが盛んで、かつては「東北の灘」と称されていましたが、現在も4軒の老舗蔵元が銘酒を造り続けています
銘酒福小町を醸す湯沢の木村酒造県内でも秋田県内でも二番目に古い歴史をもつといった古い歴史を持つ酒蔵「木村酒造」
創業は元和元年(1615年)創業以来400年、酒造り一筋に歩み続けてきたそうです
 

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木村酒造のホームページには
『私たちが受け継いできた蔵へ、足を踏み入れてみませんか。
新しい時代に向けて、一人でも多くの方に知ってほしい歴史がある。
その願いをこめて、私たちは伝承の蔵を開放しています。
目新しいオートメーション設備などはありませんが、400年の歴史の中で、私たちが絶やすことなく紡いできた手造りへのこだわりを、きっと感じとっていただけるはずです。
ぜひあなたも、蔵が語りかける歴史物語に、耳を傾けてみませんか。』
とあり
 

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コロナ禍が有る程度落ち着いた今、酒蔵見学ができるという事から伺わせていただきました
まずは見学の際に付き添って説明くださった杜氏らしき方からは「湯沢で一番古く、一番小さな蔵ですよ。」との言葉と
木村酒造では特定名称酒のみに特化した醸造をし、仕込みの半分以上が、純米大吟醸、大吟醸、純米吟醸クラスの酒という事をお聞きしました
 

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最初に紹介いただいた、この酒米を蒸す甑を載せるレンガ造りの竈
兵庫県の伊丹で同じものを見ましたよと、スマホの写真を見せたところ大変驚いているようでした
伊丹諸伯 旧岡田家・酒蔵でみた煉瓦造りの竈
なにやらその昔ここ秋田の酒蔵と伊丹の酒蔵に関係性が有ったようです
 


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次に「内蔵」
築250年を超える旧仕込蔵が今も残されています
一昔前に醸していた福娘や男山の看板が有りましたが、明治14年、明治天皇が御巡幸で秋田県雄勝郡湯澤町(現湯沢市)を訪れた際、
その侍従長が木村酒造を宿に充てられました。
当時、「男山」と銘打っていた酒を供したところ、甘くてやさしい香味が賞賛され、
男山というよりも女性的な印象であったことから「福娘」という銘を賜ったそうです
 
 
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ちなみに写真撮影はOK
SNSでひろめてもらいたいようです
ただしスタッフや人物の撮影はご遠慮くださいとの事


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木村酒造の内蔵の外廊下には
古くから使われていた酒道具を展示
 

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なかには酒造りには欠かせない良質な仕込水を供給するための水道
「大町井戸」から蔵までは木管で水を引いた水道が有ったのだとか
 

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『日本奥地紀行』の著者として英国人紀行家イザベラ・バードの紹介コーナーもありました
日本の奥地を探検すべく、この内陸ルートを馬車や馬、時に徒歩で踏破
独自の視点で綴った明治初頭の日本の風景は、『日本奥地紀行』に記されています
 

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酒米の穂も展示されていましたが
「改良信交」「亀の尾」「秋田酒小町」「吟の精」「美山錦」
そして「あきたこまち」も展示されていました
酒米は原始の米に近いらしく穂が長く、あきたこまちのような食用のポピラーなお米より穂が長いのが見てとれました
 

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石で出来た酒搾りに使うフネなど貴重な酒道具の数々
フネには醸造用圧搾機などの機械加工を手掛ける「伊藤鐡工所」の圧搾機が載せられています
酒搾りに使われる王道たる「ヤブタ式」のような横型圧搾機とは違い
この古いフネから搾られて出てくるお酒は、出てきた順番により、「荒走り」「中汲み」「責め」などの呼び名があり
昔の舟搾りは、最初と中間、最後の『セメ』で味が違うとかそんな話を聞きました
 

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「槽搾り」から搾られた原酒はこの槽口から出てきますが
お酒の瓶に「槽口汲み酒」とか書かれている場合がありますが、そんな貴重な原酒はここで飲めたりしたら最高なんですが
 

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そんな木村酒造にはなんと蒸留窯がありました
焼酎でも醸していたのでしょうか、今は使われてはいないようです
 

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そんな蒸留機の奥には3基目のフネも見てとれました
 

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夏場は日本酒を造らない、伝統の「寒造り」を頑なに守り、厳寒の時期に芳醇な酒を醸す木村酒造
2階にある酒母を造るタンクは7月に伺った時は空の状態でした
にしても流石雪国蔵の梁が半端ありませんね
 

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2階からは下に貯蔵タンクが並んでいます
今は造りが行われていませんが、仕込みタンクには蒸米、麹、酒母、仕込み水を入れ、櫂入れが行われます
一度に仕込みをせず、初添、踊(仕込みはせず酵母の増殖を促す)、仲添、留添という「三段仕込み」の方法がとられ
その後、低温でゆっくりと発酵させます
こうした発酵法(低温長期発酵)で醸されたお酒は、なめらかで旨みのあるキメ細やかな味わいになるといった
東北地方の寒冷な気候を利用した独特の醸造法で日本酒が醸されるそう
 

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タンクはステンレスではないのですねと尋ねたところ
案内してくださった杜氏さん曰く
ステンレス樽は所詮、鉄でしょうと、ホーロー樽が一番と語るこだわりの酒造りを聞かせていただきました
 

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槽搾りに使われていたフネを見せていただきましたが、実際に醪を搾るのはこのヤブタ式の自動圧搾機
まぁそんなもんでしょうね
 

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展示コーナーには2012年にロンドンで開催されたIWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)では、「大吟醸福小町」が日本酒部門でチャンピオン・サケ(最優秀賞)に輝いた賞状などが展示されていましたが
ちなみに銘柄名になっている、福小町は小野小町の生誕の地と云われている湯沢の酒蔵であることから、名付けられているようです
 

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そうそう秋田の酒蔵に必需品である菅元総理の『國酒』の色紙が誇らしげに展示されていますが、菅元総理は秋田県湯沢のど田舎の出身なんだとか
ということで秋田湯沢の酒蔵、木村酒造の酒蔵見学は終了
丁寧な解説に加えてこだわりを紹介いただきありがとうございました
 

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このページは、r-ohtaniが2023年12月 7日 04:26に書いた記事です。

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