秋田酒蔵巡りの最近の記事

もう40年近くは通っているススキノの老舗焼き鳥屋福鳥
焼鳥に一番合うお酒は日本酒ってのを思い知らされたのがそんな福鳥で提供される高清水でした
特にヤカンに入れられ炭火のそばに置かれ遠火で燗される熱燗の魅力ははかり知れません
 

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そんな高清水を醸す秋田酒類製造に直接伺いたいと以前から思っていましたが、ようやくそのチャンスが訪れることになりました
秋田空港からはリムジンバスで秋田市に向かいますが、途中の卸センター前で下車
少し歩いたところに「高清水」の看板が高々と掲げられた秋田酒類製造がありました
 

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まずは酒蔵見学の施設である本社に隣接する「倉//蔵(KURA KURA)」に赴きます
秋田酒類製造の酒蔵見学は酒造りが行われていない夏季は1日2回で予約制
あらかじめ予約しての訪問となりました
ちなみに2年前に訪れた際は社員旅行により休館しており、今回がリベンジの訪問となります
 

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古い倉庫をリノベーションした蔵見学受付兼直営ショップの「倉//蔵」


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奥には杜氏がこだわりぬき醸したお酒は無論
「高清水」の名入れのグラスや徳利、前掛け、Tシャツなどのグッズ類が売られ
私もそんな高清水の名の入ったTシャツが速乾性ポリエステル製だったこともあり即買いしてしまいました
 

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秋田酒類製造本社蔵の敷地には、千秋蔵、仙人蔵の2つの蔵がありますが
今回見学するのは伝統の酒造りを継承する仙人蔵
蔵には「酒造道場」というキャッチコピーがつけられていましたが
仙人蔵が伝統的な造りを追求する小仕込み専用の蔵だからなんだそうで
今でも手造りとなる吟醸酒などがこの蔵で醸されるんだそうです
 

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蔵へと向かう通路には
昔ながらの酒造りに使われてきた道具が展示されています
手前から酒米を蒸すときに使われる大きな「湯釜」
隣にあるのは、「スピード酒燗器」
説明書きには5秒で50℃程度までお酒を温めることができる優れものです
ただの骨董品ではないことを、この後伺った秋田市の居酒屋「からす森」でも目にし現役で使われていることを知りました
「八千代槽」という名の壺というか甕
今の時代も使われる麹造りに使われる台
上槽に使われてきた佐瀬式の搾り機と昔ながらの槽
出雲辺りではこれじゃなきゃ日本酒は搾れないなんて話す酒蔵もありました
 

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高清水のCMで有名な岡江久美子さんのポスターなどの宣材
なんと岡江久美子さんはここ秋田酒類製造「清酒・高清水」のCMキャラクターを19歳から大凡20年間務められていたそうです
  

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そんな仙人蔵はもともと普通酒の製造蔵だった第一工場の一部を改築
1953年に建てられたとあって古い柱や梁が当時そのまま残されていました
 

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ここ仙人蔵は別段ミュージアムだけではなく、仕込み時期には全国新酒鑑評会への出品酒をはじめ
数あるラインナップの中でも高級酒に位置付けられる「瑞兆」や「和兆」などここ仙人蔵において、ほぼ手作業で造られているそうです
 

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蔵を改装した日本酒バーのような洒落た空間がありましたが
 

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そんなバーに使われているテーブルはなんと
その昔上槽に使われていた「槽」をリノベートしたものでした


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続いて伺ったミュージアムには古い看板が残って展示されていましたが、実はこれ
「菊水」1655年か1956年創業
「里能井」1902年創業した酒蔵の銘柄の看板
そのほか
「國粋」1837年創業
「程よし」1860年創業
「親玉」1871年創業
「松舞鶴」「若殿」1895年創業
「末廣」1900年創業
「戸島川」1905年創業
「八龍」1915年創業
「金的」1918年創業
「飯田川」1921年創業
などといった銘柄を醸していた24もの造り酒屋が戦時下の企業統合により合併
1944年に秋田酒類製造株式会社を設立したのだそうです
戦後の1947年には離脱する酒造家もありましたが、半数の12の酒造家が秋田酒類製造に残り
1950年には本社と新工場を建設し秋田酒類製造は企業合同体として本格的に始動したといった歴史があったようです


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ここで日本酒好きのスタッフによる解説で古くから使われてきた酒道具についてなど
酒造道場仙人蔵で広く家庭や飲食店で愛飲される「いつもの酒」の一端を覗かせていただきました
 

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そうそうこうした「試桶」(キツネ)や
 

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「泡とり」に使われる木製の道具などは
仕込み時期には仕事が少ない大工さんもいて
そんな大工さんが作ってきたことも多いかったのだそうです
 

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仕込み時期にはそんな大工さんや、農業に従事してきた方々が出稼ぎに来られていますが
酒造りは住み込みとなるためか、こんな寮「清酒高清水 清和寮」も完備されていました
 

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最後にお楽しみの試飲
このためにレンタカーでは来ず、公共交通機関でやってきたというわけです
試飲は
①大吟醸「嘉兆」
②「純米大吟醸 蔵付酵母仕込み 磨き35」
③「秋田県限定 秀麗無比 特別純米酒」
④「今だけ 夏の純米」といったところ
今回は車の運転もないことからたっぷり試飲させていただきました
秋田酒類製造仙人蔵見学は終了
丁寧に解説していただいたスタッフに感謝です
そういや私が前述の「ススキノの老舗焼き鳥屋福鳥」で愛飲していた旨話をしたところ
私もそのお店に行きたいと思っていました・・・なんて話も聞きました
ぜひとも伺ってみていただきたいものです
 

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美酒王国と呼ばれる秋田には37もの日本酒の酒蔵があり
雪国ならではの低温発酵技術と質の高い酒米を活かした日本酒の名産地
秋田2日目はレンタカーを駆りそんな酒蔵をめぐります
そんな秋田にあって最古参の酒蔵の一つ、千代緑を醸す大仙市の奥田酒造店に伺いました
まずは杉玉の飾られた蔵の玄関から、三百有余年の歴史を誇るこの蔵は、白井晟一氏の設計になる建築物で国の登録有形文化財にも指定されています
  

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奥田酒造店のメインブランドは「千代緑」
初代蔵元が、この街から望める初夏の緑美しい山々を詠った、「若葉映ゆる 四方の山々 千代緑」という俳句から名づけたのだそうです
  

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そんな奥田酒造店は秋田で一番小さな蔵
蔵内では洗米から瓶詰めまですべての工程において原料と真摯に向き合いながら
蔵人4名と杜氏兼社長の奥田重徳氏が「全量箱麹法、全量瓶燗火入れ」を徹底したまさに手作りの酒造りを行っていて
そんな杜氏兼社長の奥田さんから丁寧に説明を受け蔵を見学させていただきました
 

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仕込蔵にあるブレーカむき出しの配電盤が九十年余の歴史を伝えています
 

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奥田酒造店での酒造りは伝統的な寒造り
伺った初夏にはすでに甑倒しを終え
酒造りの道具たちはこうして整理整頓され
また次のシーズンでの出番を待っているようでした
  

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造りはすでに終えていましたが、奥田社長より順を追って奥田酒造店での酒造りについて説明を受けました
まずは「洗米」
「洗米機 スパイラル吟洗号」が見て取れますが
 

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受けた説明では麹米に使われる酒米にはかなり気を使っているようで
酒米は洗米ののち、この洗濯機を使用し脱水
重量を測り吸水率を正確に把握するとのことで限定給水
ここ奥田酒造店では通常より吸水率を低めの28%台にとどめているといったこだわりがありました
  

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次の蒸米はこの古い和釜を用いた伝統的な蒸きょう


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蒸された酒米は麹室の前にゴザなどをひいて、その上に広げられ放冷されます
すべてが人の手による手作業
かなりの重労働ですね
 

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そしてこちらが奥田酒造店の麹室
入口ドアには昭和29年11月
私の生まれる前からここで活躍してきたようです
 

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奥田社長はそんな麹室の中も見学させてくれました
麹室は秋田杉を使った麹室で奥にはオゾン発生器が置かれ、除菌に役立てているのだとか
 

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麹室にはステンレス製の床用製麹機もありました
 

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こうして造られた生麹の一部は冷凍庫で保存し
解凍して使われるケースもあると聞いてびっくり
 

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続いて酒母(酛)造り
奥田酒造店の奥にはこうしたカーテンで仕切られ小さなタンクが並んだ
吟醸酒などを仕込む仕込部屋もありました
 

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そしてこちらが通常の仕込み部屋
 

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奥田社長の説明を聞くと仕込みタンクの下で白熱電球を点灯させタンクを保温させているのだとか
たかがこんな電球でどれほどの保温効果があるのと聞くと、このくらいの熱量が一番だと話をしています
もちろん現代のLED電球にそんな効果もなく、白熱電球の生産中止に備え電球を購入してあるとのこと
ちなみに奥田社長曰く、サーマルタンクだと醪との会話が希薄で酒造りが楽しめないとのことでした


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上槽はこの「薮田式自動圧搾機」を使用
かなり古くからこの薮田を使用していたとのことです


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蔵の奥には「佐瀬式」のフネも2槽ありました
 

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奥田酒造店の酒造りの特徴が、加水(割見ず)をしない原酒
一般的に日本酒の原酒は20%前後で、加水することで15%前後になるよう調整しますが
奥田酒造店の日本酒は醪の段階でアルコール度を16%台に抑えたうえで、加水しない日本酒造りがおこなわれているのだとか
  

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この瓶詰機で瓶に詰められた日本酒は
 

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全てのお酒を火入れの時の急激な温度変化でお酒の風味を壊さないよう、お酒を詰めたビンを水を張った釜に並べて熱を加え、徐々に65度まで水温を上げていく『瓶燗火入れ』が行われます
しかも一回のみといった話を聞きました
こんな拘りを含め1時間あまりの説明を聞きながらの酒蔵見学となりました
 

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帰りに安倍晋三元総理の「國酒」の色紙が掲げられた店先で
「千代緑 蔵付分離酵母・七番 純米吟醸」を購入
(某やんごとなきお方が国民文化祭でご来県遊ばされたさいに持ち帰られたとの噂の逸品)
自宅に戻ったら楽しませていただきます
この度は奥田社長みずからの説明による酒蔵見学誠にありがとうございました
これでまた秋田にお気に入りの酒蔵が一つ加わりました
 

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