美酒王国と呼ばれる秋田には37もの日本酒の酒蔵があり
雪国ならではの低温発酵技術と質の高い酒米を活かした日本酒の名産地
秋田2日目はレンタカーを駆りそんな酒蔵をめぐります
そんな秋田にあって最古参の酒蔵の一つ、千代緑を醸す大仙市の奥田酒造店に伺いました
まずは杉玉の飾られた蔵の玄関から、三百有余年の歴史を誇るこの蔵は、白井晟一氏の設計になる建築物で国の登録有形文化財にも指定されています
奥田酒造店のメインブランドは「千代緑」
初代蔵元が、この街から望める初夏の緑美しい山々を詠った、「若葉映ゆる 四方の山々 千代緑」という俳句から名づけたのだそうです
そんな奥田酒造店は秋田で一番小さな蔵
蔵内では洗米から瓶詰めまですべての工程において原料と真摯に向き合いながら
蔵人4名と杜氏兼社長の奥田重徳氏が「全量箱麹法、全量瓶燗火入れ」を徹底したまさに手作りの酒造りを行っていて
そんな杜氏兼社長の奥田さんから丁寧に説明を受け蔵を見学させていただきました
仕込蔵にあるブレーカむき出しの配電盤が九十年余の歴史を伝えています
奥田酒造店での酒造りは伝統的な寒造り
伺った初夏にはすでに甑倒しを終え
酒造りの道具たちはこうして整理整頓され
また次のシーズンでの出番を待っているようでした
造りはすでに終えていましたが、奥田社長より順を追って奥田酒造店での酒造りについて説明を受けました
まずは「洗米」
「洗米機 スパイラル吟洗号」が見て取れますが
受けた説明では麹米に使われる酒米にはかなり気を使っているようで
酒米は洗米ののち、この洗濯機を使用し脱水
重量を測り吸水率を正確に把握するとのことで限定給水
ここ奥田酒造店では通常より吸水率を低めの28%台にとどめているといったこだわりがありました
次の蒸米はこの古い和釜を用いた伝統的な蒸きょう
蒸された酒米は麹室の前にゴザなどをひいて、その上に広げられ放冷されます
すべてが人の手による手作業
かなりの重労働ですね
そしてこちらが奥田酒造店の麹室
入口ドアには昭和29年11月
私の生まれる前からここで活躍してきたようです
奥田社長はそんな麹室の中も見学させてくれました
麹室は秋田杉を使った麹室で奥にはオゾン発生器が置かれ、除菌に役立てているのだとか
麹室にはステンレス製の床用製麹機もありました
こうして造られた生麹の一部は冷凍庫で保存し
解凍して使われるケースもあると聞いてびっくり
続いて酒母(酛)造り
奥田酒造店の奥にはこうしたカーテンで仕切られ小さなタンクが並んだ
吟醸酒などを仕込む仕込部屋もありました
そしてこちらが通常の仕込み部屋
奥田社長の説明を聞くと仕込みタンクの下で白熱電球を点灯させタンクを保温させているのだとか
たかがこんな電球でどれほどの保温効果があるのと聞くと、このくらいの熱量が一番だと話をしています
もちろん現代のLED電球にそんな効果もなく、白熱電球の生産中止に備え電球を購入してあるとのこと
ちなみに奥田社長曰く、サーマルタンクだと醪との会話が希薄で酒造りが楽しめないとのことでした
上槽はこの「薮田式自動圧搾機」を使用
かなり古くからこの薮田を使用していたとのことです
蔵の奥には「佐瀬式」のフネも2槽ありました
奥田酒造店の酒造りの特徴が、加水(割見ず)をしない原酒
一般的に日本酒の原酒は20%前後で、加水することで15%前後になるよう調整しますが
奥田酒造店の日本酒は醪の段階でアルコール度を16%台に抑えたうえで、加水しない日本酒造りがおこなわれているのだとか
この瓶詰機で瓶に詰められた日本酒は
全てのお酒を火入れの時の急激な温度変化でお酒の風味を壊さないよう、お酒を詰めたビンを水を張った釜に並べて熱を加え、徐々に65度まで水温を上げていく『瓶燗火入れ』が行われます
しかも一回のみといった話を聞きました
こんな拘りを含め1時間あまりの説明を聞きながらの酒蔵見学となりました
帰りに安倍晋三元総理の「國酒」の色紙が掲げられた店先で
「千代緑 蔵付分離酵母・七番 純米吟醸」を購入
(某やんごとなきお方が国民文化祭でご来県遊ばされたさいに持ち帰られたとの噂の逸品)
自宅に戻ったら楽しませていただきます
この度は奥田社長みずからの説明による酒蔵見学誠にありがとうございました
これでまた秋田にお気に入りの酒蔵が一つ加わりました
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