奄美黒糖焼酎酒蔵探究2020の最近の記事

4年前になにげなく訪れた奄美大島
自然が色濃く見どころ満載だったのに加え
その時味わった島料理が味わい深く
しかもそれに合わせて飲んだ奄美黒糖焼酎が絶品のうえ安く、土産に購入した数本の奄美黒糖焼酎を飲み干した後も酒屋で見つけては晩酌に楽しんでいるほどでした
 

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そんな良いことづくめの奄美大島ですが、ここ数年、観光地として着目され始めたようで
連休などについては航空券がなかなか取れなくなっていました
まあJALは羽田からは一日一便ですから、座席には限りがあるので仕方ありませんね

そんなおりたまたま取れた、JALの「おともdeマイル割」によるチケット
(2区間を2人で54千円くらい+2万マイルと激安)
てなわけで先週末、奄美までひとっ飛びしてまいりました
たどり着いた奄美空港の到着口にはこうして奄美黒糖焼酎が並べられていました
 

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空港からはこれまた激安のレンタカーで観光
最初に向かったのが、「奄美大島酒造」
大きな焼酎瓶3本のオブジェが出迎えてくれました
 

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伺ったのが土曜日で工場は休み、予約を入れておいたので浜千鳥館で受付をし酒蔵見学をさせてもらう事に
 

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今年の造りは1月14日からと、伺った日の翌日からと工場入り口付近には黒糖が山のように積まれていました
ちなみにこの黒糖にはこだわりが有り、奄美大島の島内で生産されたサトウキビを原料を、奄美大島酒造のグループ会社である「富国製糖」の大型製糖工場で黒糖焼酎専用に製糖されたものなんだとか
奥にあるの運搬用フレコン袋に入っているのはタイ米です
 

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そんな黒糖はこの黒糖溶解タンクに入れられ高温の蒸気で溶解
麹の入った仕込みタンクに投入されます
 

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麹はタイ米に白麹を入れて仕込まれます
説明を受けたこの蔵自慢の「川内式 電動製麹装置」
ホームページには「ドラム内部で米貯蔵タンクから吸い上げられた原料米を水に浸積させ洗米を行い、水切り後に蒸しに入る。蒸米が終わると麹をかけて33~34度の一定の温度を保ちながら2晩寝かすという3日間の作業
浸漬から出麴までを一貫して同一容器内で行うドラム式製麴装置」とあります
機械で一貫して製造されますので、雑菌が入る可能性が激減するうえ、人件費削減に大いに役に立っていると説明を受けました
 
 
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そんな麹や黒糖はこの大きな仕込みタンクに入れられ醸されます
 

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奄美大島酒造にはこの3台の蒸留機で蒸留されますが
奥の蒸留機は常圧蒸留機ですが、手前の2台は河内式 常圧・減圧兼用蒸留機
特に一番手前の蒸留機で減圧蒸留された焼酎が「じょうご」という銘柄で売りに出されるています
この「じょうご」減圧蒸留のおかげで原料由来の成分や雑味の元となる成分の抽出も抑えられるため、軽く爽やかな口当たり
いわゆる飲みやすいタイプの焼酎となり女性にも人気なんだとか

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蒸留され気体となった焼酎はこのタンクに水を張り
その中のパイプを通ることにより冷やされ液体となります
 

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液体となった焼酎がこんどは冷却タンクへと移されますが
 

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蒸留後の焼酎には フーゼル油 という醸造の過程で生成される油状物質があります
冷却タンク上部に浮いてくる油成分を丁寧かつ丹念に取り除くことにより
焼酎の風味に悪さを与えないようにしています
ちなみにこのフーゼル油、焼酎本来の独特な香りの根源となるものでもあることから
この濾過については賛否両論が有り、蔵でも試行錯誤しているようです
そうそう写真の一升瓶はそうして取り除かれたフーゼル油です
 

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こうして蒸留された焼酎はステンレスタンクや亀壺、さらには木樽と3種の貯蔵方法があるのがこの奄美大島酒造
人気銘柄「高倉」などはタンクで3年以上貯蔵した原酒を
更にこのオーク樽で熟成させることにより、コクと甘い香りを持つ琥珀色の黒糖焼酎になるのだとか

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工場見学の後はお楽しみの試飲
まぁ私は運転が有るので飲めません
替わりに我が家の奥さんが試飲
飲んだ中で「浜千鳥乃詩 ゴールド」が美味しいと\の事なのでこいつを一本購入
これもまた2年以上タンクで寝かせた原酒をオーク樽で3年寝かせた古酒
自宅に戻ってから飲むのがこれまた楽しみです
 

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この晩、宿泊先の名瀬にある居酒屋「木の花」で
島料理と奄美大島酒造のじょうごや高倉を堪能していたところ
なんと奄美大島酒造の杜氏を務める安原淳一郎さんもお店で一緒となり
4時の見学の方ですね遠いところからありがとうございますと挨拶をうけたりと
まさに奄美黒糖焼酎な一日となりました

そうそう工場見学は私どものために、丁寧な解説を含めて見学させていただきありがとうございました

ここ数年、我が家の晩酌としてよく登場するのが
写真の「奄美黒糖焼酎れんと」(実際に飲むのは4合瓶ですが)
5年前工場見学に伺ったさい話を聞きえらく感激したことから
遠く離れた札幌の酒屋で見つけては飲むようになりました
 

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ということで奄美黒糖焼酎酒蔵探究第二弾は「奄美大島開運酒造」
名瀬に本社は有りますが、工場は自然に囲まれた宇検村にあり
その名瀬からレンタカーを1時間ほど走らせやってきました
 

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ここ奄美大島開運酒造で予め予約していた工場見学
奄美黒糖焼酎「れんと」の製造工程をご案内してくれるとういうもの
前回5年前の見学に続いて2回目の訪問となりました

さてまずは奄美黒糖焼酎に欠かせない黒糖
この蔵では1年を通して造りを行うため、冬場は地元宇検村産、沖縄産や加計呂麻島産を主に、夏場は外国からの黒糖を調達し使用しているとのこと
今回訪れたのは1月のはじめということで
ボリビア産の「伊島の黒糖」を使うとの事
この黒糖を溶解する機械の中に入れ熱を加えて攪拌、黒糖を溶解
ちなみにここまでの工程で二日間かかるそうです
 

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続いて仕込みタンクへ
ここでは米麹に水を加えて5~7日間一次仕込みした後、前述の工程を済ませた黒糖を二回にわけて加えて仕込みます
 

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そして蒸留酒と言えば、蒸留器
ここでは奄美大島酒造同様に減圧蒸留製法と常圧蒸留製法を使い分けるため
2通りの蒸留機が3台ありました
 

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この小さなタンクに入れられているのは
いわゆる「ハナタレ(初垂れ)」とも呼ばれている
焼酎を蒸留する時に出てくる最初の「しずく(初留もの)」
タンクの香りを直に嗅がせていただきましたが、ウイスキーのニューポッドと\はまた違った
良い香りが満ちた初留ものでした
ちなみにこのはなたれ
「FAU」という銘柄で売られていて、前回のさいに購入
美味しくいただきましたが、残念ながら今回は瓶に詰められるほんの少し前でした
 

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減圧蒸留で蒸留された貯蔵タンクに詰めて熟成は
その後、貯蔵タンクに詰めて3か月間熟成されますが
奄美大島開運酒造の特徴は何といっても「音響熟成」
貯蔵タンクに取り付けたスピーカーで3 カ月程音楽を聞かせて熟成させます
 

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焼酎に利かせる音楽は、奄美伝来の島唄ではなく「クラシック音楽」
モーツァルトやベートーベンなどのクラッシック音楽が一番焼酎を美味しくさせるんだとか
貯蔵タンク内に耳を当ててみると、焼酎が躍っているような振動が伝わっきました
 

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ちなみに焼酎の銘柄となる「れんと」は
イタリアの音楽用語「Lento」からきているのだとか
日本語では「ゆるやかに、ゆっくりと」という意味で
3ヶ月間じっくり熟成させることから付けられたのでしょうね

もう一つのテーマが女性にも飲んでほしいという願いから
口当たりの良い爽やかな焼酎を目指し作られたという事

奄美大島酒造協同組合のホームページには
『創業時から島外へ向けた販売促進と女性ファンへ向けた商品開発を意識し、初代杜氏の渡悦美さんらが中心となり、減圧蒸留と音響熟成による爽やかな香りとまろやかな口当たりを実現させ、女性が手に取りやすいようボトルのデザインなどにも工夫を重ね、首都圏など大都市圏での販売を拡大してきた。』と謳われていました

いかにもこれが焼酎といった玄人好みの焼酎造りではなく
プライドを捨てた飲みやすい焼酎をあえて作った・・・と言ったところが
とても好感が持てました
 

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とはいえこれだけの蔵ですから玄人好みの焼酎ももちろんあります
それが、長期熟成の黒糖奄美焼酎あれこれ
常圧蒸留製法で出来た原酒をシェリー樽で長期熟成させた、その焼酎はウイスキー独特の琥珀色の色が付いていますが、実は色が付きすぎると黒糖焼酎として売れないのだとか(なにやら根拠のない話だそうですが)
それを杜氏の技術、マル秘の手法で脱色して
「酒税法での焼酎」として販売しているのが「紅さんご」
私の一押しの奄美黒糖焼酎がこれです
 

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工場見学の後は
お楽しみの試飲
スタッフのOさんは「れんと」「うかれけんぶん」「武彦」
奄美大島大和村と奄美大島開運酒造のコラボレーション商品「開饒(ひらとみ) 」
「LENTO限定復刻」「1/fゆらぎ」「紅さんご」「FAU」
「すっきりパッション」「すっきりれんと たんかんフレーバー」
など様々な黒糖焼酎を試飲させてくれました
けれど今回も車で来ているので
残念ながら香りだけを楽しみむことに
 

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最後に土産に前述の「紅さんご」を2本買い
奄美大島開運酒造を後にします
 

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さてこの紅さんご
自宅で瓶熟成させ色を付けまろやかになってから飲んでみようかな

奄美黒糖焼酎、酒蔵見学第三弾は「富田酒造場」
奄美黒糖焼酎 竜宮を醸す酒蔵です
場所は今回宿泊したホテル「ホテルウエストコート奄美Ⅱ」から歩いて3分と言った街中にある酒蔵です
今回の奄美での黒糖焼酎酒蔵探究
初日には「奄美大島酒造」、2日目は「奄美大島開運酒造」と奄美で1・2を争う大きな蔵を巡りましたが、本日は昔ながらの甕仕込みで醸す奄美大島の最も小さな酒蔵を見学することになりました
 

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蔵見学の際は杜氏(社長)の富田真行さん自らの説明を受けました
まずは原料となる酒米(ここではうるち米)のお話し
地元産にこだわる富田杜氏のお話だと、ようやく最近地元鹿児島産のお米で造れるようになったのだとか
 

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そして肝心の黒糖はもちろん日本産
黒糖焼酎はサトウキビの産地によって味が変わるとのことで
沖縄産などの国産黒糖のみを数種類をブレンドして使っているそうで
今回訪れた際は沖縄産の2種と奄美産の黒糖を食べ比べしてみましたが
結構味が違うものとびっくりさせられました
 

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ここ富田酒造の売りは何といっても「甕壺製法」
蔵には創業以来使用している甕壺40個
これが土中に埋められています
(うち蔵付き酵母の関係か?8個は使われていない)
 

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昔ながらのこの大甕による、どんぶり造り
ひとつの甕に米麹を入れ1週間酒母造りをし、さらにその中に溶かした黒糖を入れてもろみを作る
と昔ながらの製法で醸される焼酎
長年もろみを作り続けてきた甕には、米麹が入れられたラインと黒糖が足されたラインの2つのラインがしっかりと刻まれていました

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スワンネックを天井近くまで伸ばした特注の蒸留器
もちろん玄人好みの常圧蒸留
高低差をつけているのは黒糖焼酎にキレを生み出させるためなんだとか
 

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蒸留された原酒はこのステンレスタンクで半年以上貯蔵され出荷されるのですが
気になるのはその手前にある木の樽
 

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蔵には樽で長期熟成させた黒糖焼酎もあるのだとか
ちなみに焼酎を樽熟成させたときに香りとともに着くのが、琥珀色
けれどその琥珀色が問題で、何故か同じ焼酎でも琥珀色が付くと焼酎として売れないのだとか

この蔵だけではなく、他にも奄美開運酒造や泡盛で有名なヘリオス酒造など
樽熟成をしている酒蔵さんにいけば必ず聞こえてくる、筆者にとって不可解な酒税法の話がここでも聞くことが出来ました
 

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最後に瓶詰めの設備
いかにもハンドメイドの雰囲気が漂っていますが
その上には「あるがまま」と書かれた看板が掲げられていました
杜氏である富田さんのスタンスでありポリシーなんだそうです
 

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蔵の見学の後は試飲
試飲コーナーはこの酒造場にあるのではなく
近くのマンションの一角を借りた場所に有りました

部屋はまるでバーのような仕様で
厨房もあることから、料理好きな杜氏が自ら黒糖焼酎と共に料理を作ってくれているようです
 

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さて試飲ですが、残念ながら私は車の運転が有り香りだけですが
まずはパッションフルーツを活用したリキュール「時計草」
 

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極めて生産量の少ない蔵元で、独特の個性をもつ黒糖焼酎が幻の名品
定番の「龍宮30度」
「まーらん舟33度」
最後に『琥珀』と名付けられた、樽熟成の黒糖焼酎
これは前述の理由で琥珀色がしっかり付いちゃって製品化できないとのことでした
 

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こうして丁寧に蔵を案内していただいた上
秘密の小部屋で試飲までさせていただき感謝感謝です

ちなみに帰りには樽詰めで寝かされたその香りが鮮烈だった
蔵限定?(とある理由で蔵でしか売れない)の「琥珀」を一本購入して帰ります

そうそうここの蔵見学は見学料500円との事でしたが
帰りに土産として「蔵和水」wいただきましたが
このお酒、富田酒造の看板商品 奄美黒糖焼酎「龍宮」を蔵の仕込み水で15度まで和水したもの
仕込み水と言えば、金作原原生林を源流とする伏流水が使われているとの事ですから
何かハレの日にでも冷やしていただこうかと思います
 

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