インドの首都ニューデリーで開かれているユネスコの世界遺産委員会で7月27日、日本政府が推薦した新潟県の「佐渡島の金山」の世界遺産登録が決定いたしました
なにはともあれおめでとうございます
これまで韓国政府が「朝鮮半島出身の労働者が強制的に働かされた場所だ」として登録に反対していたそうですが、とある同意があり賛成に回ったことで全会一致で決定のようですね
その合意の内容と言うのが、世界遺産登録を目指すにあたり、先の大戦中の過酷な労働環境を地元の展示施設で説明すると表明されているが
「強制連行の被害現場だ」と主張する韓国に対し
戦時中の朝鮮半島出身者は「内地と区別なし」の指針、さらには待遇面で配慮もなされていたようなので、私自身はこの辺りは有耶無耶にはしてほしくはないと思っています
さてそんな世界文化遺産登録が決まる前にと、今月半ばに史跡佐渡金山を訪れましたが
土曜日の午前中、まだ観光客は島に渡っては来ていないだろうと朝一で伺うことに
さて史跡佐渡金山、予約なしで当日回れるのは
『宗太夫坑 江戸金山絵巻コース』(所要時間30分)
『道遊坑 明治官営鉱山コース』(所要時間40分)の2つ
時間に余裕があったのに加え、ここが今回の観光の目玉と言う事もあり双方回ることに
ということでまずは江戸時代の採掘様子が見られる宗太夫坑コースから
延長約280メートルの坑道では、11カ所で江戸金山絵巻に描かれている採掘作業の様子を忠実に再現
観光客らが近づくと、センサーが感知し、当時の作業衣装をまとわせたリアルな人形が動き、しゃべり出します
「水替人足と無宿人」のコーナーでは手繰りで桶で水を垂直方向に汲み上げる作業が再現されていましたが
大変な重労働だったのが容易に想像できます
ただ私自身ここ佐渡金山、江戸時代などは囚人がその重労働に当たったと勘違いしていましたが、どうやらそれは間違いでした
なにやらバスガイドさんたちがそんな話を以前していたようでそれがいつの間にか都市伝説のように定着してしまったようです
ここで紹介されているように無宿人が送られてきたことはあっても、囚人が就役したことはなく
きちんと賃金も支払われていたようです
次に「水上輪」コーナー
水上輪(アルキメデスポンプ)で水を汲み上げる作業が見て取れますし
そこにある「杉右衛門断層」に沿って水上輪が連なっていますので
この断層が掘り進める目安だったんでしょうね
「水上輪」コーナー手前の「金桶」を覗くと小銭が見て取れますが
これは観光客が投げ入れたものなのでしょう
休息所の様子は佐渡金山では一番人気のスポット
当時の金穿大工の給与は良く、待遇も良い技術者の方だったようで、相川にある遊郭では馴染みの遊女と逢うのが愉しみだったのでしょう
ホームページやYoutubeなどでよく見る坑夫が「早く外に出て酒を飲みてぇ。馴染の女にも会いてぇなぁ。」とぼやいていました
「金穿大工」のコーナー
足場の悪い場所で鏨と鎚だけで鉱石を採掘しますが
掘り進んでいく金穿大工の方のそばに、たくさんの鑚が見て取れます
というのも佐渡金山の岩盤はとても硬く、鑚は2日で1本消費し、1日に掘り進められるのは10cm程だったそうです
なんだかこうした説明書きを見るだけで切なくなってしまいます
「間切」コーナー
発注どおりか、また、どれだけ進んだかを検査
「てへん」というかぶりものをしているのが、その間切を検査する間切り改めなんだそうです
なんだか自分だけヘルメットをかぶっているようでずるいですね
最後に佐渡金山に伝わる独特の祭礼「やわらぎ」と呼ばれる儀式
地層の中に白っぽい部分や黒い部分が重なり合った岩層「石英脈」があり、その黒い部分に金が多く含まれているという
このコーナーではそんな金の粒子を含むが見つかり、「やわらぎ」が行われたようです
ちなみに私の好きなマンガ『宗像教授異考録』(星野之伸著)の「武田信玄の埋蔵金」探しに躍起になる人々の暴挙の話のなかで、その石英脈を虫のむかでに例え、武田信玄の抱える百足衆と結びつけていましたがこの壁を見てなるほどと思いました
こんな感じで宗太夫坑 江戸金山絵巻コースでは江戸時代の人間の、執念とも言える金への熱い思いが伝わってきました
ということで次は道遊坑 明治官営鉱山コースへ
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