江戸時代に亀井氏の城下町として栄えた津和野は「小京都」の代表格として知られ
城下町の古いたたずまいを残しています
駅前通りには色とりどりの鯉が泳ぐ殿町通りや、酒蔵があり
駅前商店街の幟にも「鯉と酒蔵」と書かれはためいていました
津和野町は「水の郷百選」に選ばれた津和野の名水と地元の酒米、そして気候に恵まれていることに加えてお酒の消費地の萩を抱えていることから、三軒の蔵元があります
今回は明治初期の創業以来こだわりのお酒造りをつづけている古橋酒造を訪問
昔ながらのたたずまいを残す酒蔵での酒蔵見学をさせていただくことに
ただ予約していた時間より早めに到着したことから
まずは昭和の香りが佇む店内を見て回ることに
店内の展示物には古橋酒造が醸す「初陣」の看板やら酒樽が並んでいますが
その脇に見覚えのあるものを見つけました
それが東ドイツの信号機キャラ「アンペルマン」のマスコットやファンブック
あとで調べて分かったのですが実は津和野町とベルリン中央区は森鴎外のベルリン留学以来、有効関係があるといった理由でここに「アンペルマン」のマスコットがあるのだとか
2015年の正月にベルリンを訪れた際に「イースト・サイド・ギャラリー」に立ち寄り
ベルリンの壁の跡をキャンパスにしたアートギャラリーを見て回りましたが
その際見かけたのが、下の写真にあるドイツの首都ベルリン州の正式制定歩行者信号機「アンペルマン」
ドイツの安全を守る謎の男とも言われています
さらに店の奥には、地元の左官・藤本誠一氏寄贈の、龍の「鏝絵(こてえ)」がありました
漆喰を用いて鏝で作られた、まさに美術品というべきもの
とてもこれが鏝を使って作られたとは思えない造りでした
そんな龍の鏝絵の先に酒蔵がありますが、酒造りと言えばまずは「蒸し」
古橋酒造周辺の津和野おくがの地区は山麓に位置し夏でも寒暖差が激しく豊富な水もあり酒造好適米栽培条件に恵まれた土地で「山田錦」などの著名な酒米などを多数栽培していますが、古橋酒造そんな山田錦などの良質な酒米を使用し酒造りが行われます
まずは酒米を洗米・浸漬し、写真の大きな釜に甑を乗せ酒米を蒸します
蒸された蒸米は冷却器で冷やし麹や酒母・ もろみに使われます
特に麹室に運ばれた蒸米は酒造りのもっとも大切な工程といわれる「麹造り」に使われることに
歴史を感じさせるホーローのタンクで米麹、酒母、蒸米、水を加えて三段仕込みにより発酵
もろみを醸します
出来上がったもろみはこのヤブタで搾られ「初陣」などの日本酒になります
こうして一連の工程を閑散期である8月に見せていただきました
続いて試飲
まず看板の酒 NO.1 大吟醸「津和野」山田錦100%
純米大吟醸「初陣」津和野産山田錦100%
季節の酒 NO.1「初陣生貯蔵酒」
低アルコール酒NO.1「梅酒」「ゆず酒」
と我が家の奥さんは楽しみましたが、残念ながら私はレンタカーの運転が有るので飲めませんでした
かわりにここのお勧めを2本買っていくことに
一つは山廃仕込み純米酒「ひげ文」
地元津和野出身「髭の文豪」森鴎外をイメージした純米酒。鴎外が生きていた時代の醸造法の山廃仕込みでしっかりとした旨味とコクがあるお酒なのだとか
もう一本は初陣の夏 純米生貯蔵酒
どれも帰ってから楽しむことにします
ちなみにこの古橋酒造、蔵の規模が半端なく大きい
けれどよく見ると使われていないホーロータンクも多数ありました
逆に使われているタンクのほうが少なく思えるほど
蔵の方に聞いたところもとは桶買い中心の酒蔵だったのだとか
ただしそういった桶買いに頼る経営から脱却してかなりになるようですが、最近では全国新酒鑑評会で金賞を受賞したりと今後の酒造りに期待の酒蔵です
「アンペルマン」の件は後で知ったのですが、今度是非ともアンペルマンの描かれたラベルの純米大吟醸でも出してほしいものです
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