私の自宅の本棚に長く居座る1冊の本
「マレー半島すちゃらか紀行」若竹七海・加門七海・高野宣李著
本の冒頭のこんな文章から始まります
『この三人がマレーシアを旅行するに至ったのだが、そこにはさして深い動機などない。ある日私の脳裏に天啓がひらめくがごとく、マレー鉄道に乗りたい、という思いが飛来し、即座に同行者を募ったところ、名乗りをあげたのが残りのふたりだった、というだけのことである。・・・・・・』
私が今回マレーシアを旅するにあたり最初に天啓のごとく頭に浮かんだのが、この本に登場する「マレー鉄道」でした
このマレー鉄道の路線はあの、世界の豪華列車オリエント急行でおなじみのベルモンドが運営する「イースタン&オリエンタル・エクスプレス」で使用される路線
海外テツを名乗る我が家ということもあり、このマレー鉄道に乗るのも今回の旅のテーマ
そこで選んだのが「マレー鉄道で行くイポーB級グルメツアー」という、マレー鉄道に乗れるという触れ込みの現地ツアーでした
マレー鉄道だけなら、自ら切符券を買いどこか目的地に向かうのですが、そこから先が問題
何せここマレーシアは暑いんです
ちょっと歩いただけで汗ばむような熱帯の気候
やはりツアーバスは強い味方なんです
ということで朝ホテルに向かいに来たツアーバスは、KLセントラル駅に到着
ここで降車し私どもはマレー鉄道に、ツアーバスはそのまま目的地のイポーへ向かうという実に無駄なツアーとなりました
ちなみにこのKLセントラル駅、設計はあの黒川紀明氏ということです
ツアーガイドさんから、KTM ETSチケットを受け取り出発
いよいよ乗車を心待ちにしていたマレー鉄道に乗り込みます
指の先に「GOLD」の文字が記載されていますが
これは快速電車の証
シルバーだと所要時間2時間35分かかるの対して、快速電車のゴールドは所要時間2時間20分となります
都市間高速鉄道、KTMエレクトリック・トレイン・サービス(ETS)の車両は6両編成の ETS01「クラス91」と呼ばれるもの
この電車の車両自体は現代ロテム製
走行機器となる制御装置と主電動機は三菱電機製といった車両です
けれど車両内部には現代ロテムのみが書かれたプレートが貼られていました
現代ロテムらしいのがこの座席
日本の車両なら座席は進行方向にに向け回転するタイプなんでしょうが
フランスのTGVをモデルにした韓国の現代ロテムらしく座席は回転しません
しかもTGVなら真ん中のお見合い席があり、そこから入り口に向かって同じ方向に固定された席が並んでいますが、この車両は全く逆
真ん中から左右に両入り口に向け席が並んでいました
まぁ結果進行方向と逆を向く座席は約半分といった配置と言うのはTGVと同じですね
幸いなことに指定された座席は「D/8B」
D車両の8列目、進行方向に向かった座席でした
車両には食堂車もあります
コーヒーなどとともにサンドウィッチやナシレマ、ナシゴレンなど軽食が売られていましたが・・・ビールなどは有りません
そうここはイスラム圏、当然のように車内は「アルコール禁止」でした
やはりビールやワインを飲みつつ車窓を愉しむのにはイースタン&オリエンタル・エクスプレスの乗らねばならぬようです
走り始めてほどなくして
ヤシの木などの熱帯の植物が連なる車窓が見えてきました
そう今回乗ったウエスト・コースト線はこの程度ですが、イースト・コースト線はプランテーションの作物などを輸送することを主目的として敷設されたため、実際には海岸沿いではなく、幹線道路や大きな街と離れた、人口の少ない山間部を走る区間が多いため「ジャングル・トレイン」とも呼ばれていて、まさにジャングルの中を抜けて走る列車なんだそうです
この話は前述の「マレー半島すちゃらか紀行」に詳しく紹介されていますが
こちらも次回挑戦したいものです
ETSの乗車区間を示すプレート
KLセントラル駅から目的地のイポーがプレートの端と端に記載されています
どうやら人気の路線のようです
距離にして200kmほどのKLセントラル駅~イポー駅間ですが、最高速度は140km/hで
前述の通り2時間20分で結びます
車両は市街地を抜け出し、ほどなくして郊外に出たあたりで乗務員が切符を確認にやってきます
さてこの辺りで気になったのが、エアコンの効き具合
東南アジアに共通している事なのですが、それがサービスと勘違いしているのでしょう
もう滅茶苦茶にエアコンが効いています
それが涼しい程度なら良いのですが、もはや寒いくらい
北国育ちの私ですが、上着を羽織っていなければ耐えられないほどのエアコンの効きでした
さてそんな車両、座席付近には「3-PIN」と書かれた表示がありました
そうマレーシアのコンセントの形状は、Gタイプ(BF)
3本の太いピンが特徴ですが
座席下を覗くと、ありました
日本からGタイプのiPhone充電器を持参して正解でした
このあとイポーの街を巡りますが、その前に乗車中に満充電にすることが出来ました
ただこのコンセントが使いずらいのなんのって
なんでこんなところにコンセントを付けたのか・・・(まぁ付いているだけ嬉しいのですが)
そして用はないけれど覗きたくなるのがトイレ
洋式のものが車両に備えられていました
ホースらしきものが見られますがこれはおそらくは清掃用のものなのでしょうね
ということでマレー鉄道の旅は終了
終点らしきイポー駅で降車です
ツアーでご一緒した皆さんはそのエアコンの恐怖に慄いて、ようやくたどり着いたといった面持ちでした
さてこれから巡ることとなるそのイポー
駅自体が観光名所に選ばれるほどの景観でした
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