写真は宮崎県日之影町を流れる五ヶ瀬川が作り出す渓谷の風景です
今年7月上旬に熊本南部を中心に九州全域に甚大な被害をもたらした記録的な豪雨があり、私の訪れた7月下旬もここ五ヶ瀬川は激流が流れていました
けれど何だか仙人が住んでいそうな森の雰囲気がありますね
それもそのはず森林面積が92%を占める日之影町は、平成18年に全国初の「森林セラピー基地」に認定された森林浴の町です
そんな日之影町を訪れた理由は森林浴ではなくタイトルにあるようにここ日之影町にある姫泉酒造の酒蔵見学
激流となった五ヶ瀬川を挟んで川向にその蔵は有りました
その姫泉酒造、天保2年創業の老舗酒蔵で、ここ宮崎の日之影町の五ヶ瀬川沿いで紅芋、麦、餅米、とうきびなどさまざまな原料で醸す焼酎の酒蔵、昭和43年ころまでは日本酒も造っていたのだとか
そんな蔵で私たちに七代目姫野社長兼杜氏から直々に昔ながらの、焼酎造りの説明を受け、経験と知識、そして感を研ぎ澄まして醸す焼酎蒸留の一部を垣間見させていただきました
写真はドラムと呼ばれている機械
このドラムは回転式になっており、回しながら米を均一に蒸していきます
蒸した後は蒸した米を40度まで温度を下げて種付けされますが
見学者用なのでしょう丁寧に説明書きがあり
①ドラム
1.米洗い浸せき
2.蒸寸
3.冷して種麹をかける
と書かれていました
続いて麹棚
これも説明書きには
②麹棚
1.ドラムで一晩おいた麹を発酵させる
2.一晩置いた麹を一次仕込に送る
と書かれていました
続いて一次仕込み
ここで製麴された麹を水と酵母と混ぜ合わていきます
ここで登場するのが仕込み水
そうこんな山奥の森の中で古くから
この五ケ瀬川沿いの日之影町に蔵を構えた理由はずばり「仕込み水」
数千年前の阿蘇の大噴火により流れ出た溶岩が木々を焦がしながら堆積し、数百メートルにもなり冷えて固まりその下に形成された炭化された層(蔵の対岸となります)から湧き出る泉を発見したのが先代の当主です。この水が、清酒、焼酎造りに適していると考えた先代が、現在130年以上経つ蔵をここに構えた一番の理由だと言われております。現在も対岸より湧き出る水源よりホースで引っ張り、焼酎造りの仕込み水、又、近隣住民の生活用水としても使われています。
水は、当社の命ともいえる先代が残した偉大なる財産です。
(姫泉酒造HPより拝借)
こんな話を姫野社長が熱く語っていました
ちなみに三角棚にある麹を、ホーロータンクに投入するのは人力
手押し車でこのスロープ状の登坂板を使いタンクに投入するのだとか
なかなかの重労働のようです
さすがは天保2年創業の老舗酒蔵
私が生まれたころ作られたホーロータンクが今も現役でした
こうして作られた一時もろみ
そして2週間ほどかけ発酵させたもち米焼酎作成段階の芳醇な「二次もろみ」
双方香りをかがせていただきました
そんな仕込みをしているこの蔵は約130年以上経っており、酵母や細菌が蔵に宿り、柱や壁を黒く染めていました
発酵を終えた「もろみ」はこの常圧蒸留釜で蒸留され原酒になります
原酒は樽などで熟成され
琥珀色した甘みのある「米焼酎 天保二年の約束」などの焼酎となります
瓶詰め作業や洗浄に使われる道具たち
蔵の屋根裏部屋にも連れて行っていただきました
ここには日本酒を醸していた時の酒造りに使われてきた貴重な道具などが保管されていました
ただ残念なのが、博物館級の古い酒造りの道具が酒蔵見学の際に盗難にあったりした事もあり、現在は団体の見学はお断りしていりのだとか
そうそうこれは内緒ですと教えられた
焼酎の品質を左右する重要な成分の一つの油状成分
そのろ過方法がなかなか九州らして感動でした
最後に焼酎の土産を物色
ワインのような味ていう限定芋焼酎「月と陽」と本格芋焼酎「無濾過御幣~夏茜~」を購入
これらは次回キャンプで楽しもうと思います
姫野社長自ら焼酎造りを丁寧に説明いただきましたが
先般行った都農ワイナリーとは真逆となるような「新しいものはいくらでも生まれてきますが、古いものは一度辞めたら作れない」といった経験や人の感による酒作の一端を見させていただきました
お忙しい中、私どものためにご説明いただき感謝感謝です
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