今回の沖縄旅行の目的は泡盛の蔵めぐり
5年前に沖縄を訪れた際、飲んだ泡盛が美味しくしかも安価ということもあり気に入り
それ以来、沖縄フェアーなどで見かけるたびに購入し飲んでいるお酒です
けれど実際泡盛を醸している蔵は見たことがなく、今回の沖縄旅行で観て歩こうとここに来る数日前に予め数カ所ばかり酒蔵見学を予約してありました
まず最初に訪れたのは名護市内にある泡盛【国華】の造り元「津嘉山酒造所」
大正13年創業で沖縄にただ一つ、戦前から残る由緒ある泡盛工場なんだそうです
非常に重く硬い材「黒檀」
その性質を使い印鑑や高級家具、仏壇、楽器などに使われる材木で沖縄では三線の棹材になる事でも知られています
もっとも固いだけあって成長も遅く、大きくなった黒檀はそれだけでも珍しいのですが、そんな黒檀の木々に囲まれた風情のあるこの建物が津嘉山酒造所の蔵元のお住まい兼醸造所
特に沖縄古来の建築様式である母屋は赤瓦葺き屋根を有する木造建築物としては沖縄最大級の建築物で国の重要文化財に指定されています
そんな津嘉山酒造所は、長い修復工事中が終わって間もなくの訪問でした
ちなみにGoogleMapで探しつつ向かったのですが、かなりわかりづらい場所にあり
ここまでたどり着くのに一苦労してしまいました
重要文化財である母屋、今も当時の様子を再現してくれていますが
もとは蔵元が暮らしたその部屋は今や泡盛の試飲やイベントに使われているのだとか
ちなみにここは酒蔵見学の予約は不可でした
現地で直接、酒蔵での泡盛づくり見学を頼もうと思いましたが、杜氏は作業中のようで不在
奥の酒蔵に行って声をかけてくれとの事なので遠慮なく酒蔵まで足を踏み入れました
そうこの日、蔵にいたのは杜氏一人
もっとも蔵人は全員で3人なんだとか、沖縄にはこうした泡盛の蔵は47軒あるのだそうですが、工場といった大規模な泡盛の蔵はごく一部でほとんどがこうした蔵なんだとか
そんな状況に関わら杜氏の秋村さんは熱心な語り口調で即座に見学会を始めてくれたうえ
丁寧に蔵の歴史を説明してもらえました
そんな秋山さんは泡盛に魅せられ、千葉から沖縄の名護に移住されここで泡盛づくりをされているのだとか
そうそうこの津嘉山酒造所の母屋は戦前からある建物
終戦後占領軍に建物が接収されて使われてたこともあり
こんな『OFFICERS QUARTERS』なんて梁に彫られた彫り物も今もなお確認できます
改修の終わった蔵の梁はかなり立派に見えましたが
耐震上問題があるようで、こうして鉄骨の補強がなされていました
蔵の蒸留用ボイラーのとなりのレンガ造りの建造物の中には水が入っていて
蒸留して気化した泡盛はこのレンガの中で冷却されて液体に戻る造りになっています
さすがに南国ということなのでしょう、気温対策にも工夫が凝らされていますね
蔵の柱には昔からの黒麹菌が付いてて、酒の味わいを大きく左右すると杜氏の秋山さんがおっしゃるほどの拘りで
柱の部材をすべて新品にはせず、接ぎ木をしてもとからある柱を残していました
そんな柱には、よく見るとこんもり黒麹菌がついていました
これがここの泡盛「国華」の味を左右しているんですね
ここが2013年に泡盛鑑評会にて最高賞の「県知事賞」を受賞した古酒を生み出した蔵です
亀壺ではなくステンレスのタンクで貯蔵した方が美味しいというのが素人には判らないところ
もう一つ杜氏の秋山さんから聞いた話では
何故泡盛は日本のお米であるジャポニカ種ではなくタイ米を使うのか、疑問に思っていることを聞いてみたところ
泡盛を醸す黒麹菌はもとはタイから輸入されたもの
やはりタイ米との相性がいいのではとい応えられていました
あとで調べたところタイ米は粘り気の強い日本のお米(ジャポニカ種)に比べ、硬質でさらさらしているため黒麹菌が菌糸を伸ばしやすいのでまさにその通りなんですね
丁寧に蔵を説明いただいたこともありますが
折角なので土産にそんなステンレスで貯蔵した
「5年古酒8号35度(ステン貯蔵)」の4合瓶を購入
そんな古酒を抱えつつ国の重要文化財に指定されている母屋の縁側で記念撮影してもらいました
粗濾過の原酒をステンレスタンク貯蔵した酒本来の味を存分に楽しめるのが特徴の泡盛
夏の暑い日のキャンプか何かで愉しみたいお酒です
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