ニッカウヰスキー余市蒸溜所見学ガイドツアー
まぁ窓口で頼めば入れてくれるだろうと軽く考えていたたのですが
入口の看板を見て「完全事前予約制」と知り、この日は見学は無理かと思えましたが
営業時間とともに電話連絡をし、何とか2回目(9:30~)のガイドツアーに空きがあり参加できる運びとなりました
いや~今回はニッカウヰスキーさんありがとうございました
次回伺うときは必ず2日前までに事前予約の上で伺わせていだきます
ビジターセンターでまず余市蒸溜所の紹介ムービーや今回の見学ガイドツアーについての説明を受けたのち、ガイドさんに導かれツアースタート
まずは重要文化財「乾燥塔(キルン塔)」から
この建物は発芽した大麦をピートでいぶしながら乾燥させ、麦芽をつくる施設だったのですが、国産の大麦麦芽はどうしても値段が高く輸入品の3倍くらいという理由から
現在では大麦麦芽は基本的に海外から輸入したものを使っているそうです
とのことでこの乾燥塔は残念ながら使われていないとのことでした
単身スコットランドへ渡り、ウイスキー造りを学んだ竹鶴政孝ですが
最愛の妻・リタの故郷であるスコットランドに似たここ余市町の気候や風土を愛し、この地を選んだそうですが
ウイスキー造りに欠かせない麦芽造りに必要な「ピート」
(これなニッカミュージアムに展示されていたものです)
ここ余市では泥炭が豊富に採れることも、余市が竹鶴政孝の眼鏡にかなった理由のようだと
何かの本で読んだ記憶があります
ガイドさんの説明を聞きながら製造や貯蔵の様子を見学しますが
1回のツアーには参加者約25名に対しガイドさん1名がついて解説いただきました
次に向かったのが「粉砕・糖化棟」(写真右)
大麦麦芽を粉砕して、約60℃の温水で撹拌・糖化させ
次の工程である「醗酵棟」(写真左)に送られます
それと大麦麦芽を粉砕したときの破砕ごみや、次の工程で麦汁を作った際の残留物「麦芽カス」は、集められ肥料や飼料として出荷されるのだとか
なかなかサスティナブルな設備ですね
「醗酵棟」は中に入り、タンクなどを見ながらガイドさんからの説明を受けました
ここで糖化液を醗酵させて麦汁(もろみ)が作られます
と・・・ここまでの工程はビールとそっくりです
次にできあがった麦汁は、地下のパイプを通って「蒸溜棟」へ
そう屋外にパイプを通すと厳冬期は氷っちゃいますからね
蒸溜所見学ガイドツアー最大の見せ場がこの
「蒸溜棟」
いかにも蒸溜所らしい景色ですね
ちなみにポットスチルの上部には、しめ縄が一つひとつ丁寧に巻かれていますが
これは竹鶴政孝が江戸時代中期から続く老舗蔵「竹鶴酒造」で三男として生まれているのがその理由のようです
ここで麦芽をポットスチルと呼ばれる単式蒸溜器で2回蒸溜して
原酒(ニューポット)が出来上がります
そしてここ余市蒸溜所の一番の特徴である伝統的な石炭直火蒸溜
ラッキーなことに目の前で炉に石炭を入れる様子を見ることが出来ましたが、この石炭直火蒸溜により力強く重厚なモルトウイスキーがつくられるのだそうです
次に案内されたのが「旧事務所」これも重要文化財だそう
竹鶴政孝の執務室として1934年7月に建てらたものです
私が見たかったのは、その脇に立てられたこの標識柱
「余市町指定文化財 大日本果汁株式会社(ニッカウヰスキー)」と書かれていますが
ニッカの社名はこのリンゴ果汁を売っていた大日本果汁から始まったようで
NHK連続テレビ小説「マッサン」でも、主人公の亀山政春がリンゴジュースを「リンゴ汁」として病院などを取引相手に売っていたのを思い起こしました
旧事務所はガラスで仕切られていましたが
内部も見学可能で中には応接セットや金庫が展示され当時の様子を再現していました
1984年までの約50年間、ニッカウヰスキーの研究室として使用した建物は
現在「リタハウス」として残されていました
一時期、喫茶室として利用されていたこともあったそうです
ブレンダーの設備なんかディスプレーして
リタの故郷の紅茶など飲めたらいいな~なんて思わせる建物ですね
さて、ウイスキー製造で特徴的な製造過程「貯蔵」で必要なウイスキーを樽詰めしたものを貯蔵する貯蔵庫群が見て取れますが
余市蒸溜所の貯蔵庫は本場スコットランドと同様の外見で、外壁は石づくりで夏でも冷気が保てるように設計されているそうです
さて蒸留された原酒は無色透明でアルコールの刺激が強く残り荒々しくて飲みづらいものですが、そんな荒々しさを抑え込むために樽を活用した「熟成(マチュレーション)」という製造工程が必要となり、樽に詰められた原酒はこれらの貯蔵庫に長期間貯蔵されます
見学ガイドツアーではガイドさんに見学用の「一号貯蔵庫」に案内され内部が見学できました
一号の名の通り創業時に建てられた貯蔵庫ですが
「樽が呼吸をする」過程で原酒が熟成され円熟感が増して美味しいウイスキーに変化するようです
ここでガイドさんから樽の中がどこかに消える「天使の分け前(エンジェルズシェア)」についての
お決まりの説明が写真右にある中の見える樽で説明していました
ニッカウヰスキーの名のある樽が見て取れますが、昨今こうした樽を造る職人が激減しているそうですが
ニッカウヰスキーには高校卒業後入社した、生粋の職人たちがいて将来のウイスキー造りを支えているそうです
なんだか頼もしい話ですね
蒸溜所見学ガイドツアーを終えたら
次に向かうのはテイスティングホールへ
ここで見学者さんの足取りは一段と軽やかになりました
テイスティングホールは大型観光バスが複数台来ても対応できるよう
席もスタッフも用意されているが、こうした対応は数十年前から行われているのが素晴らしいですね
ここで試飲(無料)出来るのは
「余市」「スーパーニッカ」「アップルワイン」の3種類のセット
ということで先ほどまで見学して歩いた貯蔵庫や製造施設を眺めつついただきますが
残念ながら私は車の運転が有るので飲めません
試飲がすんだら次はニッカミュージアムへ
貯蔵庫を改装したウイスキーのミュージアム
ここのメインは何といっれも
有料テイスティングバー
普段なかなか手に入らない希少なウイスキーがここなら飲むことが可能
やはりここは車で来るところではないと
この時悟りました
「日本のウイスキーの父」と呼ばれる竹鶴政孝が創業したニッカウヰスキー
竹鶴政孝の生い立ちやスコットランド留学、ニッカ創業のストーリーを紹介するこのコーナーは「竹鶴イズム」と呼ばれ
スコットランドでの蒸溜所実習記録が展示されていますが
これは竹鶴政孝が「万年筆一本でスコットランドの秘宝を盗んだ」とまで比喩される展示でもありました
今から約100年前に使われていた、歴史的な竹鶴政孝のパスポートも展示
当時を鑑みると旅心をくすぐる展示です
最後に最愛の妻リタを失った竹鶴政孝
リタを亡くしてショックを受けていた竹鶴政孝を再び立ち上がらせてくれた原動力でもあったというスーパーニッカ
その昔、日本にはウイスキーブームというものが有り、その時の私の憧れがそんなスーパーニッカでした
いまではブラックニッカをハイボールで晩酌に頂いている私ですがたまにスーパーニッカを見かけるとその時を思い起こしました
こんな感じでニッカウヰスキー余市蒸留所のい製造工程見学ガイドツアーは終了
なかなかためになるお話が聞け楽しませてもらいました
ただここは有料試飲が素晴らしく、次回は泊まるかJRで来ることにします
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