社用などで訪れることの多かった函館ですが
そんなとき泊まるのは大抵はビジネスホテルですが、そんな函館のビジネスホテルの朝食ビュッフェには
たいていは函館らしくいかの塩辛が並んでいます
たとえばこちらは今回宿泊したスーパーホテル函館の朝食ビュッフェ
そしてこちらが仕事でよく使った東横イン函館駅前朝市の朝食ビュッフェ
この函館のビジネスホテルでのサービス
いかの塩辛好きな私には嬉しい限りで宿泊時の朝は毎度のように温かいご飯に載せていただいてきました。
ということで函館にあるいかの塩辛工場に興味を持っていましたが、そんな欲求を満たすべく大正3年創業の老舗「小田島水産食品」に電話で予約の上伺ってきました
その小田島水産食品は大正3年創業の老舗水産会社で、戦後間もない1947(昭和22)年から秋田産杉の "木樽" で漬け込んだ伝統的な木樽仕込みで塩辛作りを続けているのだそうです
そんな工場を朝早くから小田島隆社長自ら解説いただき見学させていただきました
まずはスルメイカを捌く台
ここで職人による手作業でスルメイカの切り分け作業がおこなわれるそうです
手前にある刃物で捌くのですが、使うのは狩猟民族アイヌが愛用した短刀「マキリ」
日本最古のアウトドアナイフですが、そういやマンガ「ゴールデンカムイ」でアシㇼパが使ってましたねなんて話でも盛り上がりました
原料となるのは近海産のスルメイカが主体だそうで
冷凍庫に保管されていました
ただし函館での生鮮スルメイカ取扱量は、最盛期の28分の1となり、統計が残る2005年以降で過去最低を記録
以前は満杯にもなった冷凍倉庫のもう一つの倉庫はほとんど使われていないのだとか
なぜそんなにもスルメイカが獲れなくなったのか、海水温の上昇も理由の一つでしょうが
一番考えられるのが外国漁船の乱獲が大きな原因ではないかと話されていました
日本のスルメイカ漁のように餌を追いかけている元気なイカを釣り針で釣る漁法と違い
大きな網を2隻の船が対になって引っ張る「二艘曳き」と呼ばれる方法でスルメイカを根こそぎ獲ってきたためのようです
いかの塩辛造りで重要な工程
捌かれたイカはこの機械で念入りに洗浄作業が行われるそうです
洗浄されたイカの身はこの機械で均等に切り分けられます
なおこれは洗浄のため周りの部品は外された状態です
そして小田島水産食品が行っているのが
全国的にも数少なくなった、昔ながらの「木樽仕込みによる塩辛作り」
塩辛を仕込む木樽は、いずれも作られてから70~80年ほど使い続けているものばかり
壊れてしまうと新しい木樽を作ってくれる職人もいないことから大切に使っているようです
何だか木樽で日本酒を醸す酒蔵(昨日伺った上川大雪酒造五稜乃蔵)も同じ話が出ていました
そんな木樽(杉樽)には500kgほど入り塩辛を仕込むのですが、発酵や熟成に必要な酵母や乳酸菌などの活動を活発にするため毎日数回にわたって撹拌し、空気を入れ替えるそうでその技もご披露いただきました
手間と日数がかかる昔ながらの塩辛づくりを続けるには訳が有るそうです
というのも木樽の表面の微細な凹凸に、塩辛を発酵・熟成させる酵母や乳酸菌などがすみついていて
樫の棒で撹拌することにより自然発酵・熟成を促し、まろやかで深みのある味を作り出すそうです
通常スーパーで売られている塩辛は着色料を使いこうした色を付けるうえ、味も調味料などを使っていると嘆いていました
(いま大メーカーでまともに造っているのは「桃屋」だけとも言っていました)
小田島水産食品で作られる塩辛は基本は塩のみ
もちろん着色料は使っていませんが、木樽で自然発酵させることで美しい桜色の塩辛に仕上がるのだとか
通常いかの塩辛の塩分濃度は5~6%程度
ただこの樽だけは塩分濃度を11%にしています
冷蔵庫などが復旧していない昔は塩分濃度を高くして保存しやすくしたのだとか
後程試食させていただきましたが、さすがに塩辛い
これだけでご飯なら1杯、お酒なら1号はかるくいけそうです
工場見学の後は工場の一角に作られた直売所でお買い物
とその前にこの部屋に案内してもらい
「利き塩辛」を愉しみます
ここでゆったりしながらスタンダードな塩辛のほか、塩分や調味料などに変化を持たせたさまざまな味の塩辛を食べ比べ
そ気に入った「ゴロ2倍木樽いか塩辛」と「木樽仕込」を購入
直売所には塩辛バル併設で
飲食店営業許可を取って酒類の提供も可能との事ですが
ドリンクメニューにはいかの塩辛にあう日本酒を出しておりメニューには「上川大雪酒造五稜」や「郷宝」もその中に有りましたので、次回函館に来た際には居酒屋に行く前に0次会として利用させていただくつもりです
今回は小田島水産食品で社長自ら工場見学の解説していただきありがとうございました
なお自宅に戻ったあとはお土産のいかの塩辛をジャガイモとクリームチーズに載せていただきましたが
伝統の木樽仕込イカの塩辛は日本酒にマッチしていました
これを食べたらもうスーパーで売っている塩辛に戻れなくなりそうです
コメントする