『飲酒のためのお客様や、呑んでおられるお客様のご来店はお断りします』と、入店前から呑兵衛に対し高い敷居を敷いている食遊 鬼無里(きなさ)
珍しい店名ですが長野県にある鬼が築いた一夜山の話と鬼女紅葉伝説が残る谷の都「伝説の谷 鬼無里」から来ているようです
居酒屋評論家として知られる太田和彦氏が
一人で旅し気楽に美味しい地酒と地元の名物料理を楽しむTV番組
「太田和彦ふらり旅 いい酒 いい肴」
2017年9月29日に放送された「第41回奈良 古の都とまほろばの居酒屋」の中で紹介されるよなお店です
当然、呑兵衛のあいだでは日本酒に合う料理てんこ盛りのこのお店として知られていて
今回も予約の上、覚悟して伺いました
大将である吉岡正倫さんが、一人で取り仕切っているこの鬼無里
お品書きはなく、カウンターの上に並ぶ17種類の大皿料理をみて注文するスタイル
まぁ料理にはかなりの自信があるのでしょうが
普通居酒屋というと、お酒を頼まないと客単価が低くなることから歓迎されないってイメージがありますが
ここは店の御主人のポリシーが、営利にまさるようです
頼んだ料理はじゃがいもの食感をそのままの大きなポテトグラタン
私の後に来た方もメニューがなく拍子抜けしていて何を頼もうか困っていて
グラタン美味しそうでないなんて会話が聞こえ、ついつい絶品でしたよと答えたところ
ご主人曰く「他人をそんなに簡単に信用するもんじゃない!」と正論を論じていました
生姜醤油で煮込んだイワシ
これなんかは自宅で作れそうなのに、絶対作れない仕上がりです
絶品のたまご焼き(おそらく隠し味は鰻でしょう)
それにひき肉を効かせた万願寺とうがらしの煮物を日本酒のアテに頼みました
もちろんどれも頼んだ日本酒にピッタリの逸品でした
ご主人も料理そのものを楽しんで貰いたいからこその張り紙をしているのでしょう
別段酒飲みが嫌いと言うわけではなく
お銚子を頼んだら表面張力を効かせるくらいにお銚子に注いでくれ
(これは奈良のお酒ですか?と聞いたら日本のお酒だと返答されました)
そんな仏頂面のご主人、私どもの会話を聞いていたようで、遠いところからありがとうと帰りは笑顔で見送ってくれました
また次回きたら是非寄らせていただきます
そう私はあの『お客様は神様です』扱いが嫌いで、こうした店のポリシーが気に入らなきゃ来なくて良い、頑固爺さんがやっている店が大好きだったりします
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