奈良の生駒にある地酒蔵「上田酒造」で教わった菩提酛
室町時代、奈良の寺院醸造の中心的役割を担った菩提山正暦寺で創醸された酛(酒母)で、日本最古の酒母と言われています
まぁいわゆる「0号酵母」と言ったところでしょうか
そんな正暦寺の入り口には「日本清酒発祥之地」という碑がありました
えっ仏教ってお酒はダメなんじゃない・・・
そう本来寺院での酒造りは禁止されていましたが、奈良・正暦寺では神仏習合の形態をとる中で、鎮守や天部の仏へ献上するお酒として、自家製造されていたそうです
正暦寺では、仕込みを3回に分けて行う「三段仕込み」や腐敗を防ぐための火入れ作業行うなど、近代醸造法の基礎となる酒造技術が確立されていたと、室町時代の古文書『御酒之日記』や江戸時代初期の『童蒙酒造記』にも記されています
こんな歴史的背景から、正暦寺が日本清酒発祥の地であり碑が建てられたのですね
ちなみに正暦寺は平安時代であった992年に創建されました
奈良市東南の深山幽谷の雰囲気がたっぷりと残る郊外の菩提寺山にあるお寺で
奈良五聖地の一つに建っています
そんな郊外にありはしましたが有名な興福寺に負けず劣らず大規模な寺であったといいます、ただ1180年には、平重衡の「南都焼討」で壊滅的な被害をうけてしまっています
今回伺った「正暦寺 福寿院」
1681年に建替え・建立された建物で国の重要文化財に指定されています
この表玄関は1702年に増築されたもの
院号の龍華樹院と書かれた看板の有る建物が福寿院
拝観料を支払い中に入ります
住職の解説を頂きつつ江戸時代建立の福寿院客殿、護摩堂の文化財「孔雀明王像」「狩野永納筆の襖絵」を拝んでまいりました
そうそう借景庭園もまた見事でした
(ちなみに写真撮影不可)
正暦寺境内には万葉歌碑が建立されていました
「秋山の黄葉を茂み 迷ひぬる 妹を求めむ山道知らずも」と書かれていますが
これは飛鳥時代の歌人 柿本人麻呂が妻に死なれたときに詠んだ歌と言われています
ちなみに黄葉は現在の紅葉をさすそうで
ここ正暦寺は錦の里と呼ばれる奈良県屈指の紅葉の名所として知られているそうです
次は是非とも紅葉の季節に伺いたいものです
最後に正暦寺の御朱印「薬師如来」をいただき寺を後にしますが
大和北部八十八ヶ所第七十三番の印も押されました
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