伝統の土佐手漉き和紙の紙漉きを見る「いの町紙の博物館」

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今回の高知を巡る旅の脚はレンタカー
そのレンタカーであちこち回り高知市に戻る途中よく見かけた看板が「和紙」
そう高知市の隣町「いの町」
土佐の山で育った楮や三椏を、仁淀ブルーと言われる美しく、澄んだ清流「仁淀川」の水で漉いて作った和紙は千年以上の歴史を誇り、いの町はそんな土佐和紙で栄えた町とのこと
ちなみにその「土佐和紙」福井県の「越前和紙」、岐阜県の「美濃和紙」と並び、三大和紙と呼ばれているそうです
なるほどとさでん交通が高知市からここいの町まで電車を横断させているのは、和紙作りで栄えたいの町がかなりの街だったんだからかと思われます
 

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ということで酔鯨酒造で蔵を見学した後、高知のホテルに戻る前あまり時間もありませんでしたが「いの町紙の博物館」に立ち寄ることに
博物館の館内にはその昔使われた紙漉に必要な道具が迎えてくれました
 

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ちなみにその土佐和紙
原料は、楮(こうぞ)、三椏(みつまた)、雁皮(がんぴ)
これらの皮をはぎ、内側の白皮に大量に含まれる強靭な靭皮繊維(ジンピセンイ)を原料にするのですが、それを取り出すまでが大変だそうです
 

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皮をはいだ後、水洗い
そして大きな鍋で石灰などアルカリ系薬品と一緒に煮込んでいくそうです
その後、脱水
たたいて繊維をほぐします
 

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繊維が綿のようにフワフワとほぐれたら次はいよいよ紙漉き
ちなみにここまでは工程のほどんどを占めているのだとか
さてその紙漉きですが、
吉井源太という人物が、1860年に大型の簀桁を発明したため、土佐和紙の量産が可能になったんだとか
 

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恭しく展示されている手漉和紙用具(簀桁)は
井上昇氏の手によるもの


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続いて、写真のキャプションには「神宮紙と中田漉次」とありますが
明治神宮聖徳記念絵画館に納めた巨大壁画用紙、神宮紙を漉いた紙が「神宮紙」
栄誉ある紙の製作に携わった職人が、高知の中田鹿次(もちろん他にも職人はいたそうです)
明治33年から昭和25年まで半世紀にわたり、伊野屈指の大規模工場として栄えた中田漉次の工場である「中田製紙工場」だったそうです
中田製紙工場その工場跡にこのいの町紙の博物館が建っているのだそうです

展示されている織機は「紗付簀桁」
「薄くて地合いの均一な紙(謄写版原紙用紙・土佐典具貼紙・図引紙など)を漉く場合、ひご・編糸・小ざるの跡が残らないように、簀引した絹紗でおおう。」とあります

 
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江戸時代に大量に生産された土佐和紙は建具の他に着物や寝具にも使用されたそうで
展示物にはこうした「紙衣」「笠」
土佐藩の下級武士が当時着用していたとありますので、もしかしたら郷士であったあの坂本龍馬も着ていたのかもしれません
 

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続いて製品である「土佐和紙」
これは人間国宝「浜田幸雄」による工房和紙 うす典 600枚
えっこれで600枚もあるのと思われるかもしれません、そうコピー用紙の500枚はもっと厚いですからね
「かげろうの羽」と呼ばれるほど薄くしかも丈夫な和紙「典具貼紙」の薄さは、なんと0.02mmと極薄なんだそうです
まさに匠の技ですね
 

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つづいて坂本龍馬記念館で気になっていたのが、この色のついた和紙
実はこれの原点がここいの町紙の博物館にあるのではと思い立ち寄りましたが、やはり有りました
それが戦国時代、いの町成山で草木染めの技術を加えて、色彩豊かな紙を漉くことが出来るようになり出来たのが「土佐七色紙」(青土佐、萌黄、紫、柿、桃、浅黄、黄の七色の紙)というもの
この土佐七色紙は土佐藩の山内一豊から「土佐藩御用紙」として江戸幕府への献上されるばかりではなく、他の藩でも珍重され土佐和紙の名を広めるきっかけとなったそうです
 

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そして土佐藩の「藩札」
展示品の説明書きには
「ニセ札がつくられないよう、漉き方、染、文様、文字刷などに、最高の技術でつくられた
とありました」
今も昔もお札づくりは最高峰の技術が使われているのですね
 

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最後館内では職人による「流し漉き」の実演がありじっくり眺めてきました
スタッフに聞いたところ紙漉き歴64年という紙漉き職人「友草さん」に手による紙漉きがこれ
簀桁ですくい上げ、一枚一枚紙を漉いていく熟練の技
見ている限り無駄の動きがないまさに職人技をこの目で見てきました
 


 

こんな感じで、立ち寄ったいの町紙の博物館
30分足らずの滞在でしたが勉強になりました
こうした匠にであうのもまた旅の醍醐味ですね

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このページは、r-ohtaniが2021年1月 3日 11:24に書いた記事です。

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