富山3日目は朝食をさっさと済ませたのちチェックアウト
高速道路をひた走り目指したのが
1995年12月に岐阜県白川郷、五箇山相倉とともにユネスコの世界文化遺産に登録されました
「五箇山菅沼合掌造り集落」
高速道路の五箇山ICを降りてすぐの場所にありました
山あいを流れる庄川のわずかな河岸段丘にある山村集落で、9棟の合掌造り家屋が現存
そうここ五箇山はその昔、秘境
白川郷とは違い、大々的に観光地化されていないのが良いですね
この時まだ朝の8時くらいでしたが
「五箇山民俗館」は空いていたようなので
この民族館、菅沼で最も古い合掌造りの内部を改築し、先人たちの知恵が生かされた生活用具や資料を300点余り展示しているとのこと
中に入って順路通り散策
まず目に飛び込んできたのが、囲炉裏
日本人がもつ憧れの一つかと思われ、合掌造りと言えば欠かせないアイテムです
この頑丈そうに見える囲炉裏の自在鉤に鉄鍋を掛けて味噌汁や富山名物のスイトン鍋が作られていたのでしょうね
そして奥に見えるのは薬箪笥、木の風合いが趣がありますね
そう富山と言ったら薬売りが有名ですよね
農地が少なく、五箇山の主要産業のひとつ和紙づくりで紙漉きなどに用いた道具なども展示
手前にあるのは木製の脱穀・精米機でしょうか
すすけて真っ黒なのは、ずっと囲炉裏の煙で燻され続けてきたからなのでしょうか
奥には機織り機も見られました
そしていよいよ
階段を上り、屋根裏へ
アマと呼ばれる天井裏には養蚕のための用具が展示されています
合掌造りと言えば「養蚕」
かつての日本ではこうした囲炉裏の熱を使った屋根裏部屋での養蚕が盛んで
養蚕業は日本の主要産業で、NHKの大河ドラマ「坂の上の雲」でも
絹織物・絹糸は「外貨獲得産業」として重視され
爪に火を点すような生活の中から、得た外貨で諸外国から戦艦などを買い
日本の近代化(富国強兵)の礎を築いた話もありました
日本海海戦においてバルチック艦隊に勝利した連合艦隊の旗艦「戦艦三笠」を買うための外貨はこうしたものの積み重ねだったんですね
さてそんなアマには珍しい展示物が
川に綱を渡し、その綱に籠を吊り下げ籠に人や物資を乗せる「籠の渡し」だそうです
川に橋も渡せないそんな時代だったんですね
続いて向かいにある「塩煙の館」
戦国時代を彷彿させる塩硝の館でまずは記念撮影
ちなみに見学料は五箇山民俗館と合わせて大人一人300円でした
「五箇山 塩硝のおこり」案内を読むと
『四百年ほどまえから加賀藩の支配下にあった五箇山では、火薬の原料である「塩硝づくり」が盛んにおこなわれていました。
山深い秘境は、幕府の目を逃れる塩硝製造の立地条件としては好都合であったらしく
素朴な手法の塩硝づくりは、明治初期まで続けられました。』とあります
火縄銃に使われる黒色火薬は本来硝石を原料としますが
硝石がほとんど産出しないため輸入に頼るしかない日本において編み出されたのが、この『塩硝』
今回の旅で初めて知りましたが、江戸時代しかもこんな秘境にバイオテクノロジー工場(軍事工場)があったという
まさに神秘的な話を聞くこととなりました
ちなみに本来なら『煙硝』と書くべきですが、そのは幕府から目を逃れて造られたこともあり
『塩硝』と名を変えていたとのことです
これが五箇山における、3個目の主要産業
紙漉き・養蚕とはちがい裏の産業で江戸時代に五箇山を治めていた加賀藩の奨励と援助を受けて、五箇山の中心産業にまで発展したそうです
塩硝(黒色火薬の原料)の作り方
まずは材料(蚕の糞・ウド・稗・蕎麦・麻・ヨモギ・サク)
「塩硝土」
家の床下に穴を掘って、稗がら・麻・ヨモギ類の葉・乾いた土に蚕の糞を積み重ねる
それを4年以上ねかせて、人口の硝酸カリウム「KNO3」が生成されるといった
江戸時代のバイオ技術がここにありました
中国の四大発明の一つである「火薬」
特に火縄銃で使われた「黒色火薬」の原料である天然硝石は欧米やインド・南アフリカ・エジプトなどで産出されましたが、日本では産出されず
かわりにこうしたバイオテクノロジーで秘密裏に生み出されていたんだそうです
そして江戸時代に育まれた高度な技術力は現代に引き継がれたようです
そうしたバイオテクノロジー工場(軍事工場)の器具や
国産化されるようになった火縄銃も展示
なんだか300円の見学料でずいぶんと勉強させられました
朝一で伺ったこともあり、マンツーマンのスタッフによる解説も聞けました
五箇山は耕地が狭いのですが、ある程度水田は有ります
そんな田んぼの一角に稲の刈り取り後に生長した穭(ひこばえ)が出ていました
というかこれはもはや「穭田」
こうした合掌造りの建物にBSアンテナは無粋だなどといった話を聞いたことが有りますが
こうした集落には年配者が多く(人の住んでいる「生きた世界遺産」)、楽しみと言えばTVくらい
このくらいは認めてあげてほしいものだと思いました
そうそうここ五箇山菅沼合掌造り集落は景観が重要なのようでBSアンテナも合掌造りに合わせて着色カモフラージュされていました
さてまだ時間に余裕があるようなので
次に五箇山はもう一カ所、五箇山相倉合掌造り集落を訪れようと思います
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