事のきっかけは名瀬の立ち飲み屋さん「奄美時代屋たっとかんばぁ」で黒糖焼酎3銘柄を選んでいただく「黒糖焼酎めぐり」を飲んだことにはじまりました
そのさい店の主人にお任せして選んでもらったのが、「里の曙」「龍宮」「加那」の3種でした
特に西平酒造の加那が美味しかった
焼酎らしくなく淡く美しい琥珀色をしていましたが、熟成された芳醇な香と味わいがありました
ラベルを見るとこの焼酎を造っている酒蔵は割と近くに有るようです
飲んだ勢いもあり、ここは是非とも行ってみなければと思いが強くなってしまいました
ということでその加名の製造元である西平酒蔵を訪ねて行ったのが、このエントリーでのお話となります
Webで調べると土曜・日曜・祝日は酒蔵自体が休みで見学はできないとのことでしたが
もしかしてと電話を掛け懇願したところ祝日の午前中であれば、仕込みの最中であり蔵も稼働しているので、よろしいですよとの返答を受けました
奄美最終日の午前9時でアポイントをとりレンタカーで伺いました
ちなみにその西平酒造
『1927年(昭和2年)創業以来、奄美の豊富な地下水と良質な黒糖と米を原料 に伝統的なかめ仕込み常圧蒸留の製法を守り、こだわりの本格焼酎を製造しています。
代表銘柄は「加那(かな)」と「珊瑚(さんご)」、25年以上貯蔵の古酒「加那伝説」』があるとのこと
さて酒蔵見学の予約は電話でしてあったのですが、伺ってみるとその話が通っていなかったようです
黒糖焼酎もちょうど仕込みの最中、忙しいのなら結構ですよと断ろうとしたのですが
せっかく来ていただいたのですからと、事務所にいらした方が対応してくれました
その対応してくれた方はこの西平酒造の社長さん西平功さんでした
ということでかなりラッキーなことに蔵の社長さん自ら説明頂く酒蔵見学がはじまります
まずは醪の原料となるお米にはタイ米が使われているとのこと
これは戦後の食糧難の際お米が使えなかったこともあるかと思いますが、この西平酒造が造る黒糖焼酎が沖縄の泡盛に源流があるからのようです
そんな醪を育てるのはこの地中に埋められた甕壺です
全部で12壺
この甕壺のなかには白麹菌の米麹と溶解した黒糖が入れられ醪が造られるというわけです
この醪を常圧で蒸留した昔ながらの製法で造った原酒をタンクで落ち着かせ
更に樫樽にて静かに熟成させて「加那」は出来上がるのだとか
おかげで加那はなめらかな喉越しでやさしい飲み口、とまろやかなコクが特徴の黒糖焼酎になるのだそうです
ちなみに樫樽はウイスキーのように12年以上樽で寝かせるわけではなく、1~2年の樽熟成のため樽は使いまわしとなります
とはいえ空にしておくと樫樽は使い物にならなくなるため、樽から出すとすぐ次の原酒を入れねばならないのでその入れ替え時期が難しいのだとか
工場の脇には一升瓶の洗浄用の設備がありました
透明な瓶ばかりですが、加那に使われるような黒い瓶は傷み具合が判らないので再利用はしないのですが、珊瑚に使う瓶は透明で傷み具合が一目瞭然なのでこうして洗浄しリサイクルされるのだとか
ちなみに「珊瑚」の一升瓶を裏から覗くと、澄んだ水色のガラス瓶の中に奄美のサンゴ礁が揺らめいているのだそうです
続いて案内されたのは「蔵ふと村」
元 は奄美伝統工芸の大島紬を紡いでいたところ
現在はというと「くらふと村酒造ホール」という70名程度が収容できるコンサートホールになっていました
ここは元々奄美伝統工芸の大島紬の工場だった建物を改装し貯蔵庫兼音楽ホールとして活用
ということでここの両脇には加那が貯蔵された樫樽がずらりと並びます
ここで年に数回島唄やクラシックのコンサートを開いて、『音楽を聞かせながら』加那を熟成させているのだそうです
ここでコンサートを聴いたら、そのあとは当然のように黒糖焼酎を楽しめるように
2階には「創作キッチンbarくらふと」がありました
こんなところで島料理をつまみつつ珊瑚や加那をやってみたいものですね
この創作キッチンbarくらふとには
歴史に名を遺した数々の展示物があり
西平酒造の歴史的もここで教えてもらいました
お忙しい中、丁寧に蔵を案内くださり本当にありがとうございました
惜しむらくはここ西平酒造の黒糖焼酎が県外にあまり出回っていないとの事
私の住む札幌で手に入れるのは通販以外はちょっと難しそうです
けれどこの加那、ちょっとクセになる味なのでまたどこかで見つけて楽しもうかと思っています
さて次は初日郷土料理春で頂いた「レント」の故郷
開運酒造を訪ねます
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