新潟県糸魚川市の街のど真ん中にある
「加賀の井酒造」にやってきました
新潟県最古の酒蔵で慶安3年(1650年)創業と言いますから、江戸時代徳川家光が将軍だった時代の酒蔵です
目的は酒蔵見学、無論予約の上での酒蔵見学です
写真に写っているのがその酒蔵ですが、随分と新しい建物に見えます
それもそのはず、2016年12月の糸魚川大火で老舗の酒蔵が焼け落ちてしまいましたが、大火を乗り越え2018年に復興した建物がこれです
酒造りは仕込む時期が重要なことから、急ピッチで進められた酒蔵の再建計画
そのため北海道上川町にある上川大雪酒造の酒蔵を設計した建築士の大島有美さん(アトリエオンド一級建築士事務所)が、設計し短期間で落成させたようです
ちなみにその上川大雪酒造は、三重県にあった酒造会社を北海道に移転新設したという珍しい酒蔵で、内部では効率的な作業導線や見学用のルートがしっかり整備されており、酒蔵づくりの参考になる構造だったそうです
画像は糸魚川大火に被災し更地になった加賀の井酒造
(エコ・ライス新潟HPより拝借)
その加賀の井酒造
なんで新潟県糸魚川市にある酒蔵なのに、銘柄が「越後」ではなく「加賀」なのかと思っていたら
この酒蔵、加賀藩との結びつきが大変大きいようで
江戸時代に参勤交代で江戸へ向かう加賀前田家がこの地で休憩され
加賀藩を始めとする加州三藩の藩主、家老に献上、愛飲され
前田利常公から「加賀の井」と命名されたのだそうです
写真の土蔵は同社敷地内の西端に立ち、店舗や酒蔵など6棟あった建物の中で唯一残っていたもので、そんな加賀藩の参勤交代時の宿として置いた本陣があった際の付属施設だったそうです
店舗や酒蔵など6棟あった建物については、こうした当時の図面が残っていたそうです
新たに再建された酒蔵ですから、すべてが新しい設備の酒造り
建物外部にある見学通路から施設内部を見学出来るようになっているのは
上川大雪酒造の緑丘蔵と同じ造りですが
この日はTVかなにかの取材を受けていた様子でした
まずは仕込みタンク
そして貯蔵タンク、しぼりたての新酒に火入れをした後、貯蔵タンクで貯蔵熟成されます
上部には木製の通路がありますが、こうした簡易的な建物の造りが急ピッチで再建された酒蔵の設計だったのかも
窓の中に奥の部屋に仕込んだもろみを絞る圧搾機が見えますが「YAB・・・」の文字が見て取れますので
ヤブタの自動圧搾ろ過機で搾っているのでしょうね
再建の際、この場所にこだわったのは井戸の存在
蔵で使っている仕込み水は発酵に向いた硬水
「同じ場所で368年酒造りを続けてきて、水だけは井戸から湧いているものを今までずっと使ってきたという歴史があるので」ということ
それに加え、今後襲ってくるかもしれない大火を鑑み地下に貯水槽も作られているのだとか
そんな300年以上の歴史のある井戸の水ですが、やはりそこは法律の壁、保健所などの基準に合わないのか塩素を加えねばならないようで
仕込み前に再度このフィルターでその加えた塩素を脱塩素しているようです
ここで瓶に充填され出荷されます
伺ったのが日曜という事もあり、充填機は動いておりませんでした
最後に試飲
試飲や販売などを行う施設は後回しになったのでしょう
まだ施設は整ってはいないようです
ということで倉庫の一部で試飲し
試飲して、気になった2本を購入
「純米吟醸 加賀の井」
これは2020年KURA MOSTER(2017年から開催されているフランスの地で行うフランス人のための日本酒コンクールです。)で純米酒部門 金賞受賞したお酒
「純米吟醸 加賀の井(たかね錦)」
とくにこの「たかね錦」県内産の酒米だそうですが、他の酒米と比較するとやや小粒ですがタンパク質の含有量が少ないため、すっきりとした味わいのお酒になるそうです
双方ともに食中酒として人気がるようなので、「幻魚の干物」や「いかの丸干し」あたりを取り寄せてそいつを肴に一杯やろうかと思います
こんな時期でしたが、丁寧な説明で酒蔵見学させていただき感謝・感謝です