カンボジア王国の象徴として国旗にも描かれるアンコール・ワット
クメール王国のスールヤヴァルマン2世が12世紀前半に建立したた寺院で
今では、年間400万人もの観光客が訪れるという人気スポットとなっています
まさかスーリヤヴァルマン2世も自分が建てたこのアンコール・ワットのおかげで国の経済が潤うなど考えもしなかったでしょうね
「アンコールワット3大遺跡一日観光ツアー」は当然ここに立ち寄りますが
食事を挟んで午後の時間帯に訪れたわけは
午前中に写真撮影をしようとすると逆光になってしまうからなんだとか
先ほど乗ったアンコールバルーンからこの景色を上空から眺めていたので、よくわかります
アンコール・ワットの広さは南北に1,300メートル、東西に1,500メートル
そのうえ四周を幅約 190mの水濠で囲われています
そうアンコール・ワットへ行くためには
ところどころに蓮の花が咲く、この水濠を渡らねばなりません
ところが唯一の橋たる全長200メートル西参道は修復中で渡れませんでした
ちなみに修復工事を担当しているのは、アプサラ機構と日本の上智大学のプロジェクト
完成は2020年を予定しています
ということで代わりの橋として設営されたプラスチック製の素材を組み合わせた仮設の浮き橋を利用し西塔門へ
西塔門の前にはアンコールトム南大門でみたようなナーガがどんと横たわっていました
内には16世紀後半に仏教寺院に改修されたため仏像が安置されていました
ただ両腕が壊されているほか、よく見ると首や足に修復跡がありました
クメール・ルージュによって破壊されていたのか、はたまた盗掘行為によるものなのかわかりませんが、信仰心の薄い仏教徒である私にとってはちょっともの悲しいものです
そんな仏像のある西塔門から本殿までは
なんと600mもの参道がありますが、この参道には日本が大きくかかわっているようでした
参道の途中にこの参道の修復に日本のODAが参画していると明示する看板が有りました
そうこの参道の石組みの修復は日本人の石工が指導していて
その昔、NHKのTV番組『プロジェクトX』で取り上げらたりもしたりした日本の誇りでもあります
冒頭の写真は、北の聖池(リフレクティング池)の西側から中央伽藍を臨んだ景色
俗にいう「逆さアンコール・ワット」ですが
ここは絶好の撮影スポットということもあり、周辺には観光客向けの売店が立ち並び
その売店の近くで遊ぶ、ちっちゃい子供の姿をちょくちょくみかけます
子供ずれで毎日ここに通っているのか、はたまたここに住んでいるのか
どちらにせよ毎日ここから世界遺産アンコール・ワットを眺めているんだと思いつつも
現地の人にとっては世界遺産だろうが何だろうが、これが日常なんでしょね
そしていよいよアンコール・ワット潜入
北の聖池を回り第一回廊入口から入ります
第一回廊の門ではデパター(女神)がお出迎え
頭上に目をやると
西塔門の内側の上部には精巧な彫刻が施されています
彫刻は猿の透かし彫り
日光東照宮の彫刻の「三猿」の起源の一つはアンコールワットにもあり、シルクロードを経由し日本に伝来したとも言われていますが、ここでその三猿を見つけることはできませんでした
この第一回廊の壁面はインドの叙事詩
「マハーバーラタ」や「ラーマーヤナ」などの図の浮彫が見ることが出来ます
たとえばマハーバーラタ「カウラヴァ族とパーンダヴァ族の戦い」や
ラーマーヤナからは
「ハヌマーンの肩の上に乗るビシュヌの化身ラーマ」
インド神話に登場するヴィシュヌ神の乗り物「ガルーダ」などなど
第二回廊にある沐浴池
現在はここに水が張られることはありません
第二回廊にある760mに及ぶ彫刻はヒンドゥー神話をメインに8つの異なる物語が精緻なレリーフとして全面にわたって施されており、回廊全体が絵巻物となっておりました
ガイドさんが説明しているのは
天国と地獄を分ける閻魔大王
18の手に剣を持ち水牛に乗っていました
あちらこちらに見られるデパター(女神)
デバター像は一つとして同じ表情、ポーズ、髪型や服装のものはなく
実在の女官をモデルに一つ一つ彫り込まれたのだとか
有名な日本人の落書きも、この十字回廊にありました
江戸時代に「祇園精舎」と勘違いして訪れた日本人・森本右近太夫が父の菩提を弔うために仏像を寄進したという内容の落書きです
連子状窓から差し込む日差しの影もよく見るとアンコールワットのシルエット
これも建設に関わられた方々の愛嬌なんでしょうか
須弥山を具現している中央祠堂とそれを取り囲む4つの堂塔をつなく第三回廊は凄い急勾配
転落事故も多かったようで
仮設の階段で第三回廊に登る中央塔のある「第三回廊」
残念ながらこの日はカンボジアの仏教の日「仏足日」にあたり第三回廊に昇ることは叶いませんでした
回廊の東側からアンコールワットの裏側を望み、これでアンコールワットの観光は終了
ツアーバスに乗り、次の目的地プレループへ